Appleは、Mシリーズをベースにした自社設計AIサーバーチップによるシステム構築を計画していたものの、開発が難航していると報じられています。
当初計画では2026年中の稼働開始を目指していたようですが、現時点では実現が難しいとの見方が出ています。
その代替策として、Google Cloudを活用し、最終的にNVIDIA製GPUでSiri AI関連の処理を行う可能性も指摘されています。
自社AIサーバー開発が難航か
The Informationは、Appleが独自開発しているAIサーバーチップの開発で難航しており、当初計画していた2026年中の稼働開始は困難との見通しを報じました。
このAIサーバーチップのコードネームは「Baltra」とされています。Baltraは、AppleがAI処理を自社インフラで担うために開発していたサーバー向けチップとみられています。
Baltraの仕様に関する噂
Baltraについては、これまで次のような仕様が噂されていました。
- Broadcomと共同開発
- 開発完了目標時期は、2026年
- 量産はTSMCの第3世代3nmプロセス「N3P」で行うことを計画
- M3 Ultraの2倍と4倍および、最大で8倍のCPUコアとGPUコアのチップ開発を検討
- ガラス基板のサンプルを、Samsungが提供
CPUとGPUの構成予想
BaltraがM3 Ultraの2倍、4倍、最大8倍のCPUコアとGPUコアを備える構成だった場合、M3 Ultraの標準仕様である28コアCPUと60コアGPUを基準にすると、次のような規模になります。
| 想定構成 | CPUコア数 | GPUコア数 |
|---|---|---|
| M3 Ultraの2倍 | 56コア | 120コア |
| M3 Ultraの4倍 | 112コア | 240コア |
| M3 Ultraの8倍 | 224コア | 480コア |
MシリーズとAIサーバーチップで方向性の違い
The Informationは、Apple Mシリーズの基本設計とAIサーバーチップに求められる特性の違いを指摘しています。
Mシリーズは、高性能と低消費電力を両立することを重視して設計されています。これはMacやiPad、Apple Vision Proのような端末には適した方向性です。
一方、AIサーバー向けチップでは、高消費電力であっても、大規模な並列処理性能、高いメモリ帯域幅、大量のGPU処理能力が重視されます。
そのため、Mシリーズを拡張した設計だけでは、AIサーバー用途に最適化しきれなかった可能性があります。
Siri AI処理に対応できず、2026年の稼働を断念?
報道によれば、AppleはBaltraを用いた自社設計AIサーバーシステムの構築を進めていたものの、Siri AIが要求する膨大なタスク処理に十分対応できなかったとされています。
iOS27で提供されるSiri AIでは、ユーザーの文脈理解、アプリ横断操作、自然言語処理、画像や音声を含むマルチモーダル処理など、大量のAI推論が必要になるとみられます。
こうした処理を安定して提供するには、単体チップの性能だけでなく、サーバー全体のスケーラビリティ、メモリ帯域、ネットワーク性能、ソフトウェア最適化も重要になります。
Google Cloudを活用か
Baltraを用いた自社AIサーバーシステムの稼働が遅れた結果、AppleはSiri AI関連の処理にGoogle Cloudを活用することに変更したと、The Informationは説明しています。
その場合、実際のAI処理にはGoogle Cloud上のNVIDIA製GPUが使われることになると指摘されています。
M5やM7 Ultraで解決か
Appleは、M5 UltraやM7 Ultraをベースにしたサーバー向けチップも開発していると報じられています。
ただし、The Informationが指摘したように、Mシリーズの基本設計そのものがAIサーバー用途と完全には一致しないのであれば、単に世代を進めるだけで課題が解消されるとは限りません。
M5 UltraやM7 Ultraベースのサーバーチップで実用的なAI処理性能を実現するには、GPUコア数の増加だけでなく、メモリ帯域幅の拡大、チップ間接続、サーバー規模での並列処理、AI推論向けソフトウェア最適化が不可欠と予想されます。
