Appleの元最高デザイン責任者ジョナサン・アイブ氏と、Apple共同創業者の故スティーブ・ジョブス氏の妻ローレン・パウエル・ジョブズ氏が、英メディアFinancial Timesのインタビューで、二人の関係性や、テクノロジーへの懸念などについて語っています。
ジョナサン・アイブ氏を支え続けた、ローレン・パウエル・ジョブズ氏
Financial Timesのインタビューは、ジョナサン・アイブ氏が創設したスタートアップ企業IOが、OpenAIに64億ドル(約9,200億円)で買収されたことを受けて行われています。
投資家であり慈善活動家として活躍するローレン・パウエル・ジョブズ氏は、アイブ氏がAppleを去って以降、アイブ氏の活動に密接に関わっていたそうです。
パウエル・ジョブズ氏は、自身の保有団体Emerson Collectiveを通じLoveFromを支援していました。
アイブ氏は、「ローレンがいなかったら、LoveFromは存在しなかった」とパウエル・ジョブズ氏への感謝の言葉を述べています。
パウエル・ジョブズ氏は、アイブ氏とOpenAIのプロジェクトにも、初期段階から出資し、アイブ氏の活動を支えています。
iPhone誕生で「テクノロジーは脇道にそれてしまった」
インタビューでは、アイブ氏もパウエル・ジョブズ氏も、OpenAIで開発中のハードウェア製品の詳細については語っていません。
しかし、製品開発に至った背景として、現在のテクノロジーが人間の幸福に必ずしも役立っていないという考えは共通しているようです。
iPhone登場以来のテクノロジーの進化に関する懸念の例としてパウエル・ジョブズ氏は、若者のメンタルヘルスへのネガティブな影響を挙げ、テクノロジーが「脇道にそれてしまった」と懸念を示しています。
アイブ氏が背負う、テクノロジーの負の影響に対する責任
パウエル・ジョブズ氏の懸念に同意するアイブ氏は「新しいものを生み出し、イノベーションを起こすと、予期しない結果が生じる」と語り、意図しない結果とはいえ責任を感じているからこそ、人類の役に立てる製品を開発する決意を固めた、と語っています。
アイブ氏は、2027年に量産開始と報じられている製品の開発プロジェクトによって、テクノロジーの未来に対して、再び楽観的な気持ちになることができたそうです。
OpenIAの製品がApple製品と競合する可能性について言及を避けたパウエル・ジョブズ氏は、「彼らは本当に良い人たちで、私も彼らの成功を望んでいます」と語り、Appleのリーダーたちと現在も良好な関係を維持していることを明かしています。
アイブ氏「シリコンバレーは本来の目的を見失っている」
ジョナサン・アイブ氏は、自身がAppleに入社した頃と比べて、シリコンバレーやテクノロジー企業が、人類への奉仕や人々の想像を助けるという本来の目的を見失っている、とも指摘しています。
アイブ氏は、5月のイベントで、シリコンバレーの変化のほか、チームマネジメントやデザイン哲学についても語っています。
Source: Financial Times via MacRumors
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