2025年9月19日に発売されたAirPods Pro3ですが、複数のユーザーからANC(アクティブノイズキャンセリング)の不具合について報告されています。
中には「新品に交換したものの同じ不具合が出た」との口コミもありました。Appleも不具合については認識しているようですが、対処法については明らかになっていないようです。AirPods Pro3ユーザーの事例から、主な症状と原因、対処法をまとめました。
AirPods Pro3で報告されたANCの不具合と症状
AirPods Pro3で報告されているANC関連の不具合は次のとおりです。
| 報告されている不具合 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 無音時に静電気ノイズや異音が聞こえる | ANCや外部音取り込みをオンにした状態で、音楽を再生していないのに「サー」「パチパチ」「ピー」といった音が聞こえる。片耳だけで発生するケースもある。 |
| ANCの効きが使用中に弱くなる | ANCをオンにした直後は強く効くものの、数分後に一部の環境音が漏れ、「反響」「トンネルのような響き」として聞こえる。 |
| 低音や特定の環境音が強調される | 空調、車、トラック、電車、飛行機などの低周波音が、ANCで小さくなるどころか目立って聞こえるケースがある。 |
| 装着時にクリック音や圧迫感が出る | 耳に装着した際に「カチッ」という音がしたり、耳の中に強い圧力を感じたりする。 |
| ノイズコントロールをオフにできない | 操作上はオフにしようとしても、エラー音が鳴って外部音取り込みモードに戻される。 |
特に無音時の異音や、時間経過でANC性能が低下する症状は、多くのユーザーが経験している代表的な不具合です。
これらの症状は片耳のみで発生する場合もあり、ハードウェアの個体差が影響している可能性も指摘されています。また、交換後の新品でも同じ症状が再発するケースもあるようです。製品設計やファームウェアに共通の課題がある可能性も考えられます。
AirPods Pro3のANCの不具合で考えられる原因
AirPods Pro3のANC不具合には、いくつかの原因が考えられます。ハードウェアの問題からソフトウェアの影響など、複数の要因が複雑に絡んでいるようです。ユーザーの事例をもとに、不具合の原因を考察します。
ANCの補正処理が乱れている可能性
AirPods Pro3のANC不具合の原因として、補正処理の乱れが考えられます。
ANCはマイクで周囲の音を拾い、その逆位相の音波を出してノイズを打ち消す仕組みです。しかし、装着位置のズレや耳の形状との相性により、マイクが想定外の音を拾ってしまうことも。例えば、電車や空調の低周波音が、本来消えるはずなのに逆に強調されて聞こえるケースもあるようです。
結果として補正処理が誤作動してしまい、異音の発生や環境音の強調といった症状が起きる可能性があります。
マイクの汚れや詰まりが影響している可能性
AirPods Pro3に搭載されているマイクの汚れや詰まりが悪影響しているケースも考えられます。
ANCは、外側と内側のマイクが周囲の音と耳の中の音を検知する仕組みです。両方のマイクが逆位相の音を作ることで、ノイズを打ち消しています。この重要なマイク部分が汚れてしまうと、ANCの補正機能にズレが生じてしまうのです。
耳垢や皮脂などがマイクに付着すると音を正しく拾えなくなります。その結果、本来打ち消すべきノイズが認識されなかったり、逆に強調されてしまったりなどの問題が起こる可能性もあるでしょう。
ソフトウェアやファームウェアの影響
ソフトウェアやファームウェアの影響も、AirPods Pro3のANC不具合の原因のひとつになっているようです。
過去のAirPods Proシリーズでは、ファームウェア更新後にANC性能が低下した事例がありました。AirPods Pro3でも同様です。AppleがファームウェアでANCアルゴリズムを調整した結果、性能が変化しているといった影響も否定できません。
また、接続するAppleデバイスのOSバージョンとファームウェアの組み合わせにより、不具合を起こす可能性もあるでしょう。
AirPods Pro3のANCは、使用環境や装着状態を学習して最適化する適応型アルゴリズムです。
このアルゴリズムが誤った学習をすると、ANC機能に悪影響を与えかねません。
なぜ「数秒後」にノイズが漏れるのか?技術的メカニズムの推測
AirPods Pro3で報告されている「装着して数秒間は完璧なのに、その後急にノイズが漏れ出す」という症状。これは、単なる物理的な故障とは異なり、第3世代でさらに進化した「リアルタイム音響補正」の挙動に起因している可能性が高いです。
H2チップと毎秒4万8000回の処理のジレンマ
AirPods Pro3のH2チップは、適応型オーディオや大きな音の低減機能において、毎秒4万8000回もの速さで騒音を軽減する圧倒的な処理能力を持っています。しかし、この高速な最適化プロセスこそが不具合の引き金になっているという仮説があるようです。
装着直後はプリセットされた強力なノイズキャンセリングが全帯域をカットします。この状態から、内向きのマイクとチップが周囲の音響環境を再計算していく流れです。この際、特定の定常ノイズ(空調の低い音など)に対して、アルゴリズムが過剰に反応するケースがあります。
逆位相の信号がわずかにずれることで、ノイズが漏れ続ける原因になるようです。
消すべき音と残すべき音の境界線の揺らぎ
もうひとつの要因として考えられるのが、適応型オーディオの誤学習です。
最新のANCシステムは周囲の騒音を単に消すだけでなく、ユーザーが聞くべき外部音(人の声など)を動的に識別しようとします。AirPods Pro3では、ヒアリング補助機能やワークアウトのための心拍数センサーなど、新たなコンポーネントも稼働しておりチップの解析処理は極めて複雑化しています。
海外のコミュニティ等で報告されている事例を見ると、特に飛行機のエンジン音や電車の走行音のような一定の周波数を持つ低音において症状が顕著です。これはシステム側がノイズを環境音として一定量残すべき音と誤って判断し、ANCの出力を意図的に絞ってしまっている可能性を示唆しています。
ソフトウェア起因の可能性が高いと判断できる理由
特定のファームウェア適用後に報告が集中している点もポイントです。ハードウェアの設計ミスというよりは、ソフトウェア側のノイズ判定基準が不安定になっていることが主因である可能性があるでしょう。
もし左右同時に同様の症状が発生している、あるいはファクトリーリセット後に一時的に改善するのであれば、それは個体の故障ではなく、今後のアップデートによるアルゴリズムの再調整によって解決される見込みが強いです。
AirPods Pro3の不具合で試すべき対処法
紹介してきた不具合は一部のユーザーに限った話のため、明確な対処法がないのも悩みどころです。
ここではユーザーの口コミから、AirPods Pro3の不具合解消に効果があった対処法を3つ紹介します。
AirPods Pro3をリセットする
AirPods Pro3をリセットすることで、不具合が解消されたという事例が多く見つかりました。
ソフトウェアに関する不具合の場合は、リセットが効果的です。ANCの補正処理がリフレッシュされるので、誤作動や学習エラーが改善する可能性があります。
AirPods Pro3をリセットする流れは次のとおりです。
- ケースにイヤホンを入れて蓋を閉じ30秒待つ
- ケースの蓋を開けて前面を3回ダブルタップする
- ステータスランプがオレンジ点滅→白点滅で完了
リセットが完了したら、改めてAppleデバイスと接続します。接続後に不具合が解消されているかチェックしてみてください。一部のユーザーの中には「何度かリセットしたら不具合が解消された」という声もありました。
ANCの性能が低下したり、不要なノイズを拾ってしまう際はリセットを試してみるとよいでしょう。
マイク部分やイヤーチップを清掃する
マイクやイヤーチップを綺麗に保つのも不具合解消に役立ちます。
マイクに耳垢や埃が付着していないか確認してみてください。汚れている場合は、マイクの開口部を柔らかい布や綿棒で拭きましょう。イヤーチップは取り外して水洗いした後、しっかり乾燥させてください。綺麗になったら、AirPods Pro3の装着テストをしておくと安心です。
定期的なメンテナンスは、ANCの性能維持だけでなくAirPods Pro3を長持ちさせる秘訣にもなります。
AppleデバイスとAirPods Pro3を最新状態にする
もしもAppleデバイスのOSとAirPods Pro3のバージョンが古いのであれば、最新に更新するのも有効打です。
ファームウェアやOSのバグが原因の場合、アップデートによって症状が改善されるケースがあります。各デバイスの現状は設定アプリから確認可能です。AirPods Pro3のバージョンについても、接続しているデバイスの設定アプリから確認できます。
AirPods Pro3のバージョンは充電中に自動で更新されます。最新バージョンに更新された際は、不具合の症状が出なくなっているか確かめてみましょう。
不具合が改善しない場合は修理や交換を検討する
上記の対処法を試しても症状が改善しない場合、ハードウェアの故障が疑われます。
Apple Storeまたは正規サービスプロバイダで診断を受けるとよいでしょう。
保証期間内であれば、無償修理や交換が可能です。AppleCare+に加入している場合は、過失による損傷でも低価格でサービスを受けられます。また、一部のユーザーはApple Storeで相談したところ、新品に交換してもらった方もいました。
まずはリセットやメンテナンスなどを行い、不具合が改善されるか確認してみてください。
Photo:Apple
