iOS9の広告ブロック機能が与える損失額は「わずか」10億ドル
投資銀行UBSのアナリストがiOS9の広告ブロック機能について、世界のデジタル広告収益に与える影響は「たった10億ドル」だと述べています。
広告ブロッカーがあまり効果がない4つの理由
UBSのアナリストは現地時間23日に投資家向けに配布したメモのなかで、iOS9の広告ブロック機能やその他App Storeで提供される広告ブロックアプリの影響は「誇張されている」とし、その4つの理由を挙げています。
1:アプリ内の広告はiOS9の広告ブロッカーではブロックされない
ユーザーはほとんどの時間をアプリに費やしています。モバイル広告収益の大半はアプリによるもので、モバイルWebによるものではありません。
2:ブロックされるのはSafariブラウザのアプリのみ
StatCounterによれば、世界のモバイルWebトラフィックのうち、Safariが占めているのはわずか22%です。
3:設定が必要
ユーザーはまず広告ブロッカーをダウンロードし、システム環境設定で設定する必要があります。
4:iOS9の広告ブロックは64ビット端末でのみ機能する
広告ブロックが機能するのは、iPhone5s、iPhone6、iPhone6sなどの64ビット端末のみで、古いiPhoneや古いiPadでは機能しません。
10億ドルはデジタル広告費のわずか0.5%
UBSの推測によると、iOS9の広告ブロック機能が出版社や広告主に与える損失額は10億ドル(約1,200億円)程度です。「10億ドル」というと非常に大きな金額に思えますが、UBSによれば、世界のデジタル広告費総額のわずか0.5%、モバイル広告費の1.3%にすぎません。またSafariにおける広告ブロックの率は高く見積もっても20%でしかなく、実際の影響はもっと少ないとのことです。
出版社が広告ブロックによる損害が大きいと感じるのは、iOS9のリリースのためというよりも、広告ブロックソフトウェアの利用率そのものが上昇しているため、とUBSは述べています。特にテクノロジーに詳しいユーザーの利用率が高いWebサイトについては、これらユーザーは広告ブロッカーの使用度が一般ユーザーよりも高いため、影響が大きいとしています。
Twitter、Facebookは影響が少ない
UBSが調査したデジタル広告プラットフォームのなかでは、広告ブロッカーの利用度が最も高いデスクトップからの収益比率が比較的大きい、YahooとAdobeが影響を受けそうだと分析しています。
一方でモバイルアプリに収益が集中しているTwitterは影響が最も小さく、同様にモバイルでの利用度が高いFacebookもダメージが少ないとしています。
Source:Business Insider
(lunatic)
iPhone Mania編集部
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