2015年5月20日17:25公開
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アップルとグーグル、オバマ大統領に嘆願書、「我々の暗号化システムに介入しないで」
アップルとグーグルが、スマートフォンやコミュニケーション・デバイスのセキュリティレベルを下げ、公的機関が暗号化された個人のデータを閲覧できるようにする法案を全て拒否するよう、オバマ大統領に嘆願書を提出しました。
脆弱化させる試みには断固反対
米メディアWashington Postによると、火曜日にオバマ大統領へ届けられた嘆願書では、アップルやグーグルといったテクノロジー業界を代表する企業のほか、セキュリティの専門家などの連名で、高度に暗号化されつつあるデータに公的機関がアクセスしようとすることは、プライバシーの権利を侵害するものだとして、公的機関が暗号化されたデータに介入できるようになる法案成立へ反対するよう訴えているそうです。
嘆願書では、「政府は、暗号化基準を作成しようという努力を蝕むことなく、全力でサポートすべきであり、商業的なソフトウェアに対して転覆や蝕み、脆弱化といった試みを行うべきではない」と述べられています。
プライバシーvs公共の福祉

現状では、暗号化されている場合は完全にユーザーしかアクセス出来ない

FBIとアップルが「共同で」データにアクセスすることは、今後可能となる恐れがある
しかし、「我々全員が熱意をもってプライバシーを保護すべきだということは疑いようもない」とFBIディレクターのJames B. Comey氏は、各社の取り組みに一定の理解を示しつつも、「我々は同様に、罪のない人も熱意をもって守らなければいけないのだ」と、彼らに譲歩する構えを見せません。
同氏は、なぜアップルやグーグルが人々に法を無視するような真似を許そうとするのか理解できないと言います。また、FBIや司法省も、暗号化の使用自体は認めつつも、個人データへの法的アクセスが可能となるための方策を欲しています。
こういったデータや通信にアクセスする機会を失うことは公共の安全を脅かすものだという見方は政府関係者を中心としてありますが、アップルとグーグルは、スマートフォンの暗号化の規格を強化したため、たとえ正当な理由があったとしても、公的機関ですらアクセスすることは出来ないだろうと、昨年宣言しています。
バックドアの存在はこれまでも取り沙汰されてきたが
また、一部の技術者は、暗号化されたデータをアンロックするためのキーさえ作らなければこういったことは不可能だ、と述べています。しかし、これは裏を返せば、「バックドア」さえ作ってしまえば、データのアクセスが可能だということでもあります。しかし、スマートフォンに脆弱性を予め作成することは、国内公的機関だけでなく、ハッカーや外国政府などの「招かれざる客」からも攻撃される恐れを秘めています。
アップルが中国にiOSのソースコードを公開したという話や、NSAはどのようなスマートフォンも覗くことが可能という話も、これまでにはお伝えしましたが、少なくともアップルとグーグルが、表向きはこういった流れに抵抗していく姿勢であることは間違いないようです。
参照元:Washington Post
執 筆:kihachi
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iPhone Mania編集部
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