電話と懐中電灯、以上。驚くほどシンプルな携帯Light Phoneの背景にある思想とは
電話機能以外は一切排除――どれだけ多機能であるかに腐心するスマートフォン業界の潮流とは真逆を行く、”Simple Is the Best”の携帯、Light Phoneが、Kickstarterで発表されました。デザイナーが主体となって作り上げた製品であるうえ、バッテリーの持ちが20日ということもあり、シンプルx機能美xタフさの3つを兼ね備えているという点で好評を博しています。
機能は電話、懐中電灯だけ
Light Phoneの使い方は至って簡単です。SIMカードを挿入し、ボタンを何回か押して、電話をかける、ただそれだけです。ブラウザーもありませんし、ゲームも出来ません。NFC機能など望むべくもありません。強いて言えば、懐中電灯機能があることくらいでしょうか。
「我々がLight Phoneを作成し始めた理由は、真の幸せとは『自分を生きる』ことという、余りにも自明の事実からだ。これは、セネカ(注:ストア派の古代哲学者)の時代から賢人たちが一貫して述べてきたことでもある。だが、今や我々の日常は、何かと繋がったり、スクリーンを見つめたりすることに多大な時間を割くため、余りにも多くの場面で『自分を生きる』ことを失っている。Light Phoneは、そういった繋がり方のバランスを見つめ直したいと考える人々のために創られた。もちろん、2度と繋がるべきではないというわけではない。ただ、一休みすることがあらゆる意味で非常に健康であるというだけだ」
と、製作者の1人でデザイナーでもある、Joe Hollier氏は語ります。
テクノロジーと我々の関係を再考する
20日間もバッテリーが持つうえ、500時間分のプリペイド通話が可能となっているLight Phoneですが、製作者たちは電話を使う時間を極力抑えて欲しい、買って安易に乗り換えるということはしないで欲しい、と考えています。
「テクノロジーが我々の生活を幸せなものにしてくれるのか?全否定するわけではないが、まず人間が第1にあるということを考え、長い目で見てどんなテクノロジーが我々の生活をより良いものにしてくれるかを、再検討すべきだと思う。こういった問題の最終回答がLight Phoneというわけではないが、再検討の取っ掛かりにはなるだろうし、我々もまだまだ前に進むためのアイデアを抱えている」
まるで、社会運動家にして偉大な芸術家であったウィリアム・モリスを彷彿とさせるような、反テクノロジーの高邁な思想に則って作成されたLight Phoneですが、ニューヨークでグーグルによって開催された、「30ウィークス」というインキュベーター・プログラムで、同携帯が開発されたことからも分かる通り、実はテクノロジー界の中心から生み出された産物でもあります。
Kickstarterによれば、2016年5月に発送が開始され、価格は100ドル(約12,000円)になるとのことです。筆者としては、電話だけよりも、Facebook MessengerやLINEなどのメッセージツールしか使えないほうが有り難いのですが、ともあれ無駄なくタスクに集中したい、という方は是非いかがでしょうか。ニュースサイトTechCrunchは、「『プラトン的イデア(理念)』を体現した究極の通信デバイス」と評しています。
参照元:Kickstarter、TechCrunch
執 筆:kihachi
iPhone Mania編集部
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