2015年5月11日 17時43分
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興業が終わる日―タダでスポーツ配信を視聴できてしまうアプリが問題に
スポーツ中継がiPhoneからお手軽に出来てしまう――そんなアプリが興業界にとって頭痛の種となっています。
高画質で生中継が可能

問題となっているのは、主にTwitterに最近買収されたPeriscopeと、Meerkatという2種類のアプリで、iPhoneなどのスマートフォンから、ワンタッチで動画を生放送出来るというものです。
仕組みは、以前から存在したUstreamやニコニコ生放送と変わりありませんが、PeriscopeやMeerkatは、スマートフォンから高画質動画をスムーズにライブストリーム出来るという点で人気を博しています。
とはいえ、どこにでも持ち歩けるスマートフォンと高画質で生放送が可能なツールが組み合わさってしまえば、スポーツの生中継さえも、個人によって行われる日が来るのは道理に適っているでしょう。
例えば、先日行われた世紀のボクシング対決と名高い、メイウェザーとパッキャオの試合は、Twitterが把握しているだけでも66もの違法配信が行われており、そのうちの30が除去されています。
5、6年前は気にも留めなかった

「チームやリーグは警戒態勢に入っている」と興業会社のマネージャーであるPhil Bedella氏は語ります。「5,6年前なら大して気にも留めなかった。高画質で配信できるようなモバイル・デバイスが存在しなかったからね。でも今は違う。GoProsやiPhone6 Plusがある。チームやリーグに帰すべき権利や報酬について、みんな考えを巡らせるべきだよ」。
同氏の願いも空しく、Periscopeのユーザーはすでに100万人を突破するほどの勢いです。しかも、このアプリはAndroid端末では使えないというのですから、需要の高さのほどが伺えます。
対抗策を見つけられるか

興業界は、先述したメイウェザー対パッキャオの試合をWOWOWが国内で独占配信したように、ユーザーを囲って、視聴料や広告などから収益を上げる仕組みで回っています。それだけに、こういった「ただ乗り」を何とかしたいという思いは強いようです。
メジャーリーグの1つシカゴ・ホワイトソックスは、「Periscopeは新たなテクノロジーだ。我々は放送パートナーの権利を守るために、これまで通り別のプラットフォームで視聴者を繋ぎ止めていくような試みをしていく必要があるだろう」と公式見解を発表し、対抗していく構えを新たにしました。
とはいえ、Torrentサイトを映画業界が駆逐しきれず、早期公開やDVDの早期発売などで対応するほかない現状のように、視聴者に「違法手段をわざわざ用いる意味がない」と思わせない限り、今後もPeriscopeやMeerkatなどによる「ただ乗り」は加速していく一方のように思われます。
※アプリの金額については記事執筆時の価格を記載しております。インストール前に、「App Store」での表示価格をご確認いただきますようお願いします。
参照元:Chicago Business
執 筆:kihachi