なぜグーグルはEUから独占禁止法で訴えられたのか、WSJが一問一答
グーグルが独占禁止法に違反しているとして、欧州委員会から警告を受けている問題で、現在グーグルがどのような状況に置かれているのかを、ウォール・ストリート・ジャーナルが質問に回答する形式で、分かりやすく解説しています。
グーグルは何のかどで警告を受けた?
検索結果を表示する際、グーグル自らが提供する「グーグル・ショッピング」のページを優先的に表示されるようにし、ライバルとなる他社のショッピングサイトとの公正な競争を避けようとしたからです。
欧州委員会は、こういった行為が競争を阻害し、消費者に害を及ぼしているとして、独占禁止法に当たると判断しました。さらに欧州委員会は、グーグルが提供するAndroidに関しても、反競争的な取り決めを行っていたかどうかを捜査するとして、正式な調査機関を立ち上げました。
グーグルがやっていると何が問題なの?
グーグルはYouTubeやグーグルMap、Gmail、はたまた無人運転カーまで、様々なコンテンツを有する巨大企業です。しかし、グーグルが手がける事業のコアが検索サービスであることは、依然として変わりがありません。と同時に、ヨーロッパのユーザーは90%以上がグーグルを検索エンジンとして利用しており、75%程度のアメリカや、39%の日本と比較すると、圧倒的なシェアをヨーロッパ圏域で有していることが分かります。このことから、欧州委員会はグーグルが競争ルールをより厳格に順守すべきだと判断したようです。
ずっと前から続いていた問題でしょ?
欧州委員会は5年前からこの問題を調査していました。かつては、3度ほどグーグルと歩み寄ったこともありましたが、「仏の顔も3度まで」かはいざ知らず、欧州委員会の新指導部は、「落としどころ」を見つけるよりも、場合によっては裁判所で決着をつけることになる正式な警告を言い渡すことを選んだようです。
誰かが警告を後押ししているの?
グーグルの競争相手であるマイクロソフトを筆頭に、Yelp、エクスペディア、トリップアドバイザー、ノキアなど、多種多様な業種が並びます。彼らは、自身が手がける地図や検索エンジンなどのコンテンツやサービスが、グーグルの不当なアドバンテージによってアクセスの制限を受けているとしています。
グーグルは何と言っている?
ウェブ上に公開された声明では、「これから我々の言い分を主張する」ことを楽しみにしている、と余裕の構えを見せています。いかなる反競争的な振る舞いも行っていないとし、ユーザーは多種多様な方法で情報を見つけアクセス出来る、と述べています。
また同社のブログには、「消費者や競争相手に危害を加えているとする申し立ては見当外れに決まっている」と書かれた記事が投稿され、AmazonやeBayなどのオンラインショップなど、ネット上にはすでに「山ほどの競争相手がいる」と、警告に対して真っ向から反論しました。
さらにAndroidについても、Android端末に予めインストールされているグーグルのアプリは、iPhoneにインストールされているものよりも、はるかに数が少ないと述べています。
今後グーグルには何が起こる?
EUがグーグルに対し、サーチエンジンからコマーシャル部門を切り離すように働きかけるべきだ、と所有権の分離を主張する政治家もいます。現在グーグルは、欧州委員会の異議告知書に対して応えることも、法廷外で問題を解決しようと試みることも可能です。
もし、裁判沙汰となり、グーグルが敗訴すると、EUはグーグルに対して収益の最大10%にあたる巨額の罰金を科し、ヨーロッパ域内での運営を指導することが出来るようになります。専門家は、こうなってしまうと波及的にグーグルが抱えるその他の問題まで裁判沙汰になる可能性があると指摘します。
で、これはグーグルにとって悪いニュースなの?
和解による解決はいつでも可能ですが、グーグルが数年間かけた裁判を実は望んでいるのではないか、という見方もあります。その間に現状の支配をさらに強固なものにしてしまおうという算段です。ちなみにアメリカの司法裁判所は、最近同様のAndroidに関する訴えを棄却したばかりです。
参照元:WSJ
執 筆:kihachi
iPhone Mania編集部
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