iOSまでエリクソンの特許!?アップル製品、輸入一時禁止の可能性
アメリカ中からiPhoneが消える?現実味のない話ですが、ことと次第によってはあり得るかも知れません。自社の特許がアップルに侵害されているとして、エリクソンがアメリカ国内へのiPhoneとiPadの輸入停止を求めていることが分りました。
エリクソンの支払い要求に耐えられず
世界最大の通信機器メーカーであるエリクソンは、携帯電話に関する特許を大量に取得しています。例えば、電話の発信や着信、GPS、アプリをコントロールするソフトウェアなどがこれに当たります。この特許からはアップルも流石に逃れることは出来ず、高額の特許料をこれまでエリクソンに払い続けていました。
しかし、先月にエリクソンとの契約が切れると、アップルは新しい契約を結ぶことなく特許料の支払いを停止しました。エリクソンによれば、過去2年間に渡ってアップルと交渉を続けてきたものの、お互い合意に達することが出来なかったそうです。これをアップルは、エリクソンの特許がカバーしている範囲は余りにも膨大であり、エリクソンとは関係ないアップルの技術にまで高額の特許使用料が適用されたため、と述べています。
輸入を止めることで流通をストップか
この決裂をきっかけに、エリクソンはアップルに対して、アメリカ国内で7件、国際的に2件の訴訟を準備し、損害賠償金とiPhoneとiPadの販売停止の請求に踏み切りました。
エリクソンが採った方法は、特許侵害かどうかを判定し輸入を差止めする権利を持つアメリカ国際貿易委員会に、輸入停止を訴えるというものです。
現在、アメリカで販売されているアップル製品は、ほとんどが中国で製造されたものです。したがって、輸入さえ止めてしまえば、iPhoneやiPadの流通も止まるというわけです。
あらゆる特許をエリクソンが握っている?

エリクソンによれば、2Gや4Gといった回線から、CPU周りの構造、ユーザーインターフェイス、位置情報サービス、さらにはiOSのシステムにいたるまで、アップルは41件の特許侵害を起こしているとのことです。
「アップル製品は、エリクソンのエンジニアたちによって開発されたテクノロジーから利益を得ている」と、エリクソンのチーフオフィサーであるKasim Alfalahi氏は述べています。「ライブストリームのテレビ配信や、携帯内の好きなアプリにアクセスするといったような、ユーザーが日常的に恩恵に授かっている機能がこれに当たる」。
同氏は、エリクソンが「公平な解決を求めるべく、正しい信念のもと振る舞ってきた」のにも関わらず、アップルはライセンス契約にまつわる「一切を拒否」したと語ります。
アップルは要求レートが高すぎると反論
しかし、アップルは、「エリクソンは、アップルの革新的な発明のおこぼれに預かろうと特許を振りかざしてきた。莫大な研究費用と開発費用を投じ、アップルのエンジニアやデザイナーが何年も大変な労力を割いて生み出してきた、エリクソンとは何の関係もない分野にまで特許が及んでいる」と、先月カリフォルニアの地裁で反論しました。
「私たちは、自社の製品におけるテクノロジーに関わる、標準的で不可欠な特許には、喜んで正当な対価を払うつもりだ」と、アップルのスポークスマンであるKristin Huguet氏は述べます。「残念ながら、エリクソンとは、特許のレートで合意に達することが出来なかった。窮余の一策として、裁判所に判断を仰ぐということだ」。
法廷闘争は「歌舞伎ショー」か
こう聞くと、エリクソンが草分け的存在である立場を利用して、強引に特許料を得ようとしているように思えるかも知れません。
しかし、テクノロジー界においては大企業同士がこうして特許問題でぶつかり合うのはよくあることで、過去にはアップル自身もサムスン製品の輸入差止めを要求して棄却されていますし、実際にエリクソンがインド国内でXiaomiのスマートフォン販売を停止させることに成功した例もあります。
まとめると、エリクソンが有する特許がアップル製品に関係しているのは確かですが、余りにも広範囲かつ高額なためにアップルが払い続けることに対して嫌気が差したといったところでしょうか。支払拒絶に至ったのも、特許を侵害していないというより、適正なレートを提示しないエリクソンに対するアップルの牽制だと見るのが適切なようです。
我々としては、こうした争いがiPhone6sやiPhone7の発売に何の影響もないことを願うばかりですね。
参照元:CNNmoney
執 筆:kihachi