GMの元CEOがアップルの車事業参入に「やめたほうが無難」
米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の会長兼CEO職を、昨年1月をもって辞任したダン・アカーソン氏(66)が、アップルの自動車業界参入のニュースについて、否定的なコメントをしました。
「私が株主ならうれしくない」
アカーソン氏はBloombergの電話インタビューで、アップルが独自の電気自動車開発に取り組んでいるというニュースに対しコメントを求められ、
「私がアップルの株主なら、あまりうれしくないだろう。利益率が低く、製造重視の事業に参入するのは、長期的にあまりいいと思えない」
と答えています。
アカーソン氏は、自動車業界は規制や安全要件が厳しく、人々が思っているよりもずっと厳しいとし、
「多くの人々はこの業界で仕事をしたことがないから理解できないし、過小評価しがちだ」
と述べています。
利益率の低い自動車事業
アップルの昨年12月末締めの四半期の純利益は180億ドル(約2.1兆円)で、売上総利益率は39.9%でした。一方、Bloombergの計算によるGMの同時期の売上総利益率は14%です。
2010年から昨年までGMを率いてきたアカーソン氏ですが、2009年に米政府が支援する会社更生計画の一環として同社の役員会に加わるまでは、違う業界畑を歩んでいました。GM入社以前はMCI Communicationsの社長、Nextel CommunicationsのCEOなど、主に通信業界でキャリアを積んでいます。
通信技術に詳しい同氏は、GMのCEOとして、4G広帯域セルラーサービスを含む新技術を積極的に取り入れるとともに、電気自動車事業を推進してきました。
「本格的な製造業に参入したいなら、よくよく考えたほうがいい。足を踏み入れてしまったら、自分たちがどこへ足を踏み入れているのか、わからなくなるだろうから」(アカーソン氏)
通信業界と自動車業界の両方を熟知しているアカーソン氏の言葉を、アップルはどのように受け止めるでしょうか。
参照元 : Bloomberg
執 筆 : lunatic