2015年2月4日13:02公開 / 2015年2月4日15:17更新

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バックドアを作れ!ついに中国政府、海外企業に一斉命令を出す

中国 規制 ネット


 
中国の経済規模が活発になり、海外から資本が流入してくることは中国政府にとっても喜ばしいことのはずですが、流入してきた企業が自由に振る舞うことを、中国政府は依然として許すつもりはないようです。ニューヨークタイムズによれば、中国の銀行へコンピュータ関連製品を卸す海外企業に対し、中国政府が新たなルールを通告していたことが分かりました。

バックドアを作成せよ


中国 取り締まり アップル
 
iPhoneのシェアではアメリカを抜き、名実ともに世界最大のテクノロジー市場となった中国ですが、市場が活発であることは、その市場が開放的であることを必ずしも意味しません。
 
中国政府が海外企業に提示した22ページにわたる書類では、ソースコードの公開、会計検査の提示、ハードウェアとソフトウェアに対するバックドアの作成など、中国政府のコントロール下に入ることが要求されています。
 
ニューヨークタイムズは、米国商工会議所を含む海外ビジネスグループが、共産党のサイバーセキュリティ委員会に対して、このルールの受諾を拒否する手紙を送りつけた、と報道しています。
 
これまでにも、グーグルやマイクロソフトが中国政府に従わずに締め出しを食らっている一方で、アップルがiPhoneのソースコード開示について中国政府と合意していたことなどをお伝えしてきましたが、アメリカの名だたるテクノロジー企業ですら中国政府の意向を飲むしかないという状況は、それだけ中国市場の持つポテンシャルが大きい証拠だと言えるでしょう。

積極的にデータを「奉納」する中国企業


中国 スパイ ネット
 
もちろん、協力を要請されるのは海外企業ばかりではなく、国内企業も同様です。
 
たとえばXiaomiは、許可なしに中国本土のサーバーへユーザーの情報を送っていたとして、香港の政府機関から現在も捜査を受けていますし、チャイナテレコムとHuaweiは、中国政府と繋がりがあるとして、アメリカ政府とオーストラリア政府からブロードバンド事業への参与を禁止されています。
 
とくにHuaweiは、NSA(アメリカ国家安全保障局)が、スパイの怖れがあるとして監視下に置いていた企業の1つでもあります。エドワード・スノーデン氏が暴露した文書によれば、NSAは同企業のネットワークや、Emailのアーカイブ、上級幹部同士のやり取りを傍受していたことが分かっています。
 
アメリカのセキュリティ企業であるMandiant社は、アメリカの政府機関や企業に対してサイバー攻撃を仕掛けてくる国は「圧倒的に」中国が多いことを指摘しており、同様にアメリカ政府も、中国をベースとしたハッカーが、政府や企業のコンピュータに対して機密データを盗むべく攻撃を仕掛けてくると述べています。

アリババも制裁の対象に


アリババ 中国 ニセモノ ブランド
 
一方で、すべての中国企業が政府と緊密というわけでもないようです。アリババが偽造品や悪徳企業、詐欺まがいの広告を野放しにしていたとして、中国政府から警告を受けていたことも分かっています。
 
中国の政府機関であるSAIC(国家工商行政管理総局)の出したレポートでは、アリババが販売許可を持たない業者を放置し、偽ブランド品の販売を結果的に許していることが厳しく批判されています。
 
アリババの副社長であるJoe Tsai氏は、偽物の撲滅に対して努力をしているのにも関わらず同社ばかりが槍玉に上がるのはおかしい、と語ります。
 

昨日、SAICのウェブサイトで発表された、通称「ホワイトペーパー」と呼ばれる資料では、はっきりとアリババが名指しされ、昨年8月に取り締まり人たちと会合を持ったことが述べられている。このレポートは欠陥的手法に基づいたもので、とても不公平であり、SAICに正式な異議申立てを特別に行わざるをえない、と感じている。

 
アリババはつい先日も、同社の運営するEコマースサイト、Taobao(淘宝)やTmallで偽造品の販売を厳しく取り締まるとした覚書を、マイクロソフトと取り交わしたばかりでした。

変わろうとする中国


中国 スパイ ネット
 
このようなことから、中国政府は海外企業へ風当たりを強めるというよりも、政府の意向に沿わないことを許容しない方針を立てたことが分かります。おそらく政府の管轄外である領域の増加につれて、政府の支配力が弱体化してしまう可能性を危惧しているからでしょう。
 
しかし、アリババという国内の巨大企業を「偽造品を放置している」という理由で取り締まっている姿からは、中国政府が権利問題においても健全な法治国家として歩み出すつもりであることが見て取れます。いずれにせよ、自身が世界経済において重要な位置を占めるにあたって、新たな道を「中国流」で模索していることは間違いなさそうです。
 
 
参照元:NYTZDNet
執 筆:kihachi

著者情報

iPhone Mania編集部

iPhone Mania編集部です。iPhone、MacなどApple製品が大好きな国内外のライターが集まり、2013年から記事を執筆しています。Apple製品の最新情報から使い方、お役立ち情報まで、幅広くお伝えしていきます!

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