仏で電波基準値オーバー発覚のiPhone12、ソフトウェア更新で解決図る

iphone12 スマートフォン
 
モデムから放射される高周波を巡って、フランスでの販売禁止が取り沙汰されていたiPhone12について、当局が定めた基準値に収まるよう、Appleがソフトウェア・アップデートを実施したことが分かりました。

■3行で分かる、この記事のポイント
1. iPhone12搭載モデムの電波が強すぎてEUの基準を上回っていた。
2. フランス国内で大きな問題になり、リコール騒動にまで発展する可能性もあった。
3. 今回のソフトウェア・アップデート実施で解決する見込みだが、海外に波及する可能性も。

大規模リコールは免れた

iPhone12は2020年に発売されたモデルですが、同端末の放射する周波数が欧州連合(EU)の定めた基準値を超えていることが2023年9月に発覚したため、フランスでは販売が停止されていました。
 
Appleは国際基準を満たしていると主張しており、モデムの電波を弱める今回のソフトウェア・アップデートは、あくまでもフランス国内の端末を対象としたものとなります。
 
デジタル相が「流通しているすべてのiPhoneのリコールを命じる用意がある」と発言するなど、最悪の場合は端末の全回収に発展する恐れもありましたが、放射線測定機関である全国周波数庁(Agence Nationale des Frequences:ANFR)が定めた、2週間の猶予ギリギリでの対応となりました。

EUの定めた基準をオーバー

問題となっている基準は、比吸収率(SAR)の高さです。これは電波にさらされた際に生物が吸収するエネルギー量で、1kgあたりのW(ワット)数で表されます。
 
例えば日本の場合、スマートフォンなど人体に近づけて使用する電子機器の局所SARは、1kgあたり2W(手足では4W/kg)と上限が定められています。
 
ところがANFRが検証を行った結果、修正前のiPhone12はSARが1kgあたり5.74Wで、EUの定めた4W/kgを上回る数値でした。この程度のワット数であれば人体に被害はないと考えられていますが、基準をオーバーしていたことは事実です(Appleは国際基準に準拠していると反論していました)。
 
ひとまずAppleとしては、当局からの修正プログラムの承認を待つ形となりますが、その他のモデルやフランス国外にも問題が波及する可能性があるだけに、決して楽観視はできないでしょう。
 
 
Source:Reuters,AppleInsider,総務省
(kihachi)

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