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2014年11月9日 00時06分

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「天才」ジョナサン・アイブ、アップルデザインの原点

ジョナサン・アイブ
 
iPhoneやMac、そして来年発売されるApple Watchなど、アップル製品デザインの総責任者であるジョナサン・アイブ氏は、世界で最も有名で影響力のある工業デザイナーと言えるでしょう。アイブ氏が初めてアップル製品をデザインした時のエピソードが、Business Insiderで紹介されています。

アップル製品のデザイン総責任者・アイブ氏

アップルのジョナサン・アイブ氏といえば、アップル製品デザインを統括するデザイン担当役員です。最近も「Apple WatchのデザインはiPhoneよりも難しかった」と語ったことが報じられるなど、その言動には世界が注目しています。
 
有名デザイナーのアイブ氏ですが、そのキャリアは輝かしいだけのものではありませんでした。アイブ氏がアップルで初めてデザインに取り組んだ「Newton」の第二世代モデル、コードネーム「Lindy」開発時のエピソードが、書籍「Jony Ive: The Genius Behind Apple’s Greatest Products(ジョニー・アイブ:偉大なるアップル製品を支える天才)」からの抜粋として、Business Insiderが紹介しています。

製品デザインに「物語」を吹き込む

今から20年以上前、アップルは1993年に世界初のPDA「Newton」を発表しました。アイブ氏のアップルでの初仕事がLindyのデザインでした。
 


 
Lindyのデザインは、初代モデル発売前に開始されていました。初代モデルは非常に短期間で開発されたこともあり、画面カバーが端子類を邪魔するなど使いやすいデザインではありませんでした。アイブ氏は1992年11月から1993年11月の間、Lindyのプロジェクトに参加していました。
 
アイブ氏は、Lindyの製品デザインに「物語」を吹き込むことに注力しました。初代モデルについて「人々の毎日の生活に関連付けられていない。ユーザーが把握できるメタファーがない」とアイブ氏は指摘し、Lindyでの修正に取り組みました。
 
アイブ氏は、本体にはめ込む形状だった初代モデルの画面カバーに注目しました。「これはユーザーが最初に目にして、最初に操作する部分だ。その瞬間を特別なものにしたい」と考え、画面カバーをメモ帳の表紙のように上にめくり、背面に折りたためるようにしました。
 
左右方向ではなく、上にめくる方式にしたのは、欧米のような横書き文化圏でも、日本のような縦書き文化圏でもユーザーがスムーズに使えるようにするためのこだわりでした。
 

 
Newtonは付属のタッチペンによる操作が特徴でした。しかし初代モデルのタッチペンは本体側面に妙な感じで取り付けられ、本体幅を増やしていました。アイブ氏は、タッチペンを本体に内蔵し、小さいスペースを有効活用するために伸縮式としました。
 

表紙を上にめくって、ペンを取りだすスタイルは、速記者用ノートの使い勝手であり、アイブ氏はこれをLindyの「物語」の重要な一部と位置付けました。

最高のデザイン、妥協、酷評

アイブ氏は、デザイン原案から最初のコンセプトモデルを仕上げるまで、わずか2週間という驚異的な早さでLindyのデザインをまとめました。さらに、製造上の問題に対処するために台湾に出張し、工場近くのホテルに泊まり込みました。
 
完成した製品デザインを見て、同僚たちは誰もが驚き賞賛しました。Lindyが1994年に発表されると、アイブ氏は多くのデザイン賞を受賞し、サンフランシスコ近代美術館(SF MOMA)には永久保存品として収蔵される栄誉に輝きました。2014年、サンフランシスコ近代美術館はアイブ氏にトレジャーアワードを授与しています。
 


 
アイブ氏の素晴らしいアイディアが盛り込まれたLindyは、初代モデルのわずか6か月後となる1994年3月に市販が開始されました。しかし、手書き認識の精度の低さやバッテリー持続時間の短さといった性能面の問題が専門家から酷評されたこともあり、商業的には失敗に終わってしまったのです。
 
Lindyのプロジェクトで、最高のデザインを作るために努力しても、技術上の制約から多くの妥協を強いられたことにアイブ氏は悔しい思いをしていました。その後、アイブ氏はアップル製品のデザインを統括する立場となり、デザイナーとして技術者に影響を与えるだけでなく、製造工程全体をコントロールしています。

Apple Watchにはどんな「物語」が?

アイブ氏が20年も前に、製品の見た目だけではなく、使い勝手の先にある「物語」を重視したデザインに取り組んでいたことが印象的です。私たちが使っているiPhoneにも、アイブ氏が想いを込めた「物語」があると考えると感慨深いですね。
 
iPhoneより難しかった」と語ったApple Watchのデザインでは、社会的・文化的文脈での位置づけに苦労したそうです。発売時期が2015年春頃と見られるApple Watchを手にした時、私たちはどんな「物語」を感じるのでしょうか。
 
Jony Ive: The Genius Behind Apple's Greatest Products
 
なお、書籍「Jony Ive: The Genius Behind Apple’s Greatest Products」はKindle版が902円で購入可能です。iPhone/iPad用のKindleアプリを使えばiPhoneやiPadでも読めますので、関心のある方は年末年始の読書候補リストに加えても良いかもしれません。
 
参照元:Business Insider
執 筆:hato

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