Appleから無償配布されたU2のアルバム、収益面で大きく成功
2014年9月9日に行われたApple新商品発表会と同時に、アイルランドのロックバンドU2のニューアルバム「Songs of Innocence」は約5億人に無料配信されました。しかしダウンロードしないという選択肢がなく、ある意味強制的に配信されたため、のちに削除ツールを配信するなど話題になりました。Appleはこのほど、この無料配信の結果について発表しています。
全世界で2,600万ダウンロードを記録、販売にも繋がる
「今回のキャンペーンで全世界で2,600万ダウンロードを記録、iTunesなどを通じて8,100万人もの人々が作品に触れる事になった」とAppleのエディ・キュー上級副社長は語っています。また無料配布したバージョンには含まれなかった10曲のボーナストラックを含むCD版が予約だけで7万枚の売上を達成しました。CD小売業界では無料配布により売上は低下するだろうと囁かれていただけに、この結果には関係者も驚きを隠せないようです。
利益は約108億円、U2側には約5億円以上の収益が
Appleが今回実施した無料配信のキャンペーンは約1億ドル(108億円)の収益を生み出しました。2,600万ダウンロードという数値からBillBoard誌が試算した結果によると、
・ユニバーサルミュージック 5,200万ドル(約52億円)
・U2 500万ドル(約5億円)
のロイヤリティ収入が見込めるとのことです。ただしAppleとU2はこの件についてコメントを拒否しています。
データ配信とCD販売、難しい関係性が続く
データ配信によりCD小売に悪影響が及ぶという懸念から、以前にもほかのアーティストがiTunes Store先行リリースを実施した際には、Amazonや大手小売店Targetといった小売業者から抗議の声があがっていました。
今回のような成功例から、デジタルデータの先行リリースや無料配信も、キャンペーン次第ではCD小売の結果に繋がる可能性を十分に秘めていることが証明されました。音楽のみならず電子書籍など、国内ではいまだにデジタル販売の環境が整備されていませんが、こうした成功例をきっかけに、コンテンツが充実していくことが期待されます。
参照元:Billboard
執 筆:八神 颯
iPhone Mania編集部
iPhone Mania編集部です。iPhone、MacなどApple製品が大好きな国内外のライターが集まり、2013年から記事を執筆しています。Apple製品の最新情報から使い方、お役立ち情報まで、幅広くお伝えしていきます!
iPhone Mania編集部ライター: 八神 颯 の記事一覧