アップル上級役員、iMacへのタッチスクリーン搭載とハイブリッド製品を否定
アップルがスペシャルイベントで発表した27インチRetina 5Kのディスプレイを搭載した新しいiMacは、非常に素晴らしい製品で、Macをプロユースで使用している専門家には非常に有効なツールとなります。しかし今回のイベントではっきりしたのは、iMacがタッチスクリーンを搭載する、いわゆるiMac Touchの可能性がなくなったということです。
Federighi氏がハイブリッドを否定
アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のGraig Federighi氏は、タッチスクリーンを搭載するMacBook Proのような製品が開発されることはないと述べています。
タブレットとラップトップをひとつにしたような製品を業界では「ハイブリッド」と呼んだりしています。キーボードをオプションで搭載し、ハイブリッドのような使い方ができるiPad Proが2015年にリリースする可能性はありますが、iPadとMacBookが一つになった、両OSを統合するハイブリッド製品がリリースされることはないようです。
今年初めにも複数の役員がOS統合を否定
今年初めにも、Appleの役員であるPhil Schiller氏、Bud Tribble氏、Craig Federighi氏がMacworld誌とのインタビューで、AppleはiPhoneなどで使われている基本システムのiOSと、Macで使われているOS Xを統合する予定はないとコメントし、これら2つのオペレーションシステムが将来統合されることになるという噂を否定しました。
両OSは設計の基本が違う
Federighi氏は、iMac Touchについて「Macは座って操作することを基本に設計されています。タッチスクリーンに手を伸ばしてタッチする操作は適切なインターフェースではない」と述べています。また「iPadやiPhoneはリラックスした状態で手に持って操作することを想定しており、Macとは違う」とも付け加えています。
さらにFederighi氏は、「iPadの開発でさまざまなテストを繰り返し、検証した結果、もっとも注意をしたことは、リラックスした姿勢で使えることだ」と述べています。「実際のところハイブリッドについては、さまざまな技術を使ってテストし、数年にわたり検証したが、使い勝手は良くなかった」と明かしています。アップルは以前、ハイブリッドに関する特許を数多く出願していましたが、その後、実際の製品に採用されることはありませんでした。
マイクロソフトとアップルは違う
もちろん、デスクトップパソコンにタッチスクリーンを搭載するメリットはあるのでしょうが、それはあくまで限定的なものです。ハイブリッドの新しいSurface Pro 3などはカフェやショッピングモールでも見かけるようになりましたが、これはあくまである一面の話です。
ハイブリッドに市場はあるのか?
家電量販チェーンBest Buyの最高経営責任者(CEO)のHubert Joly氏は、製品のハイブリッド化のトレンドがあるのは事実だが、今のところこのマーケットは未知数であり、今年のホリデーシーズンの売上を注意深く見ていく必要があるだろうと述べています。
結局、アップルの製品でハイブリッドのような使い方ができる可能性があるのは、来年にもリリースが噂されている、12.9インチのノートパソコンサイズのディスプレイを搭載したiPad Proではないでしょうか。その時にはアップルがアクセサリーとして新しいキーボードやスマートカバーを同時に発表し、ハイブリッドのような使い方が可能になるかもしれません。
一方で、iMac TouchのようなMacにタッチスクリーンを搭載する製品をアップルがリリースする可能性は残念ながらありません。また、既に複数のアップルの役員が何度も否定しているように、iOSとOS Xが統合されることもあり得ない話です。
参照元 : Patently Apple
執 筆 : リンゴバックス