iPadで拡大表示すると証拠動画が捏造される?弁護士がトンデモ論理を展開

Kyle Rittenhouse
 
殺人事件の証拠として提出された動画について被告側の弁護士が、iPadで一部分を拡大表示すると、Appleの「人工知能(AI)」技術によって実際に起きていない事件が起きていたかのように見えてしまうと主張、それを裁判官も認めたため、話題となっています。

iPadで拡大表示すると事実を捏造できる?

2020年8月25日、カイル・リトンハウス被告(当時17歳)はウィスコンシン州キノーシャにおいて、「Black Lives Matter」運動に参加していた人々に発砲、2人を射殺、1人に重傷を負わせたとして、殺人罪を含む6件の罪で起訴されました。
 
そのリトンハウス被告の裁判において、スマートフォンで撮影された証拠動画が提出されましたが、この動画を検察側がiPadで拡大表示しようとしたところ、被告側の弁護人が「待った」をかけました。
 
iPadで拡大表示をすると、Appleの「人工知能(AI)」技術によって動画が捏造される可能性があるからというトンデモ論理を展開したのです。
 
被告側の弁護人は「Appleが製造したiPadにはAIが搭載されており、3Dや対数を使って物事を表示することができる。iPadはAIおよび対数により、あたかもそのことが起こっているかのように見せかけることができる」と主張、iPadで動画を拡大表示すると「実際には起きていない殺人事件をあたかも起きていたかのように見せることが可能になる」という、衝撃的な主張をしました。

裁判官もこのトンデモ主張を認める

さらに驚くのは、裁判官がこの主張を認め、iPadで拡大しても動画が捏造されない事実を証明するよう、検察側に要求したことです。
 
裁判官はわずか20分間で、Appleの技術者を証人として呼ぶよう要求しましたが、当然ながらこれは不可能です。
 
米メディアThe Vergeによると、結局証拠動画は、Windows PCで再生されたものが、裁判所の壁にかけられた大型テレビに映し出されたそうです。オリジナルの映像で、拡大表示は使われなかったとのことです。

 
 
Source:The Verge
Photo:Washington Post/YouTube
(lunatic)

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