次期iOS8のプライバシー変更で、ベンチャー企業が多くの従業員を解雇!
この秋にiPhoneやiPadの基本ソフトである次期iOS8が一般に公開される予定ですが、新たなiOS8ではWi-Fiネットワーク上でiPhoneなどの機器を認識する方法が微妙に変更されることになっています。
これにより、一部の小売り店舗などでは来店時の顧客を認識する方法を変更する必要が出てくるのですが、アップルによる今回の変更により、店舗に顧客のトラッキングサービスを提供しているベンチャー企業には大きな問題が起きているようです。
アップルの仕様変更で多くの従業員を解雇
ベンチャーキャピタルから1,300万ドル(13億3千万円)の出資を受けたベンチャー企業のNomiは、iOS8へのバージョンアップによる変更を受けて、60名の従業員のうち、少なくとも20名の従業員を解雇したと関係者が明らかにしています。
Nomiは小売り店舗向けに、来店客数をはじめ、顧客がどれくらいの時間店舗に滞在したか、どれくらいの頻度で再来店するかなどのデータを提供してきました。これらのデータは店舗にビデオカメラを設置してカウントしたりしていますが、再来店の顧客の場合には、iPhoneが近くのWi-Fiネットワークに接続する際に自動的に発信する12桁のMACアドレスと呼ばれる固有の数値を記録しておき、再来店客数をカウントしていました。
iOS8ではプライバシーからMACアドレスがランダムな数値に変更
ところが、アップルはプライバシーの問題もあり、iOS8ではこのMACアドレスを毎回違ったランダムな数値に置き換えるように仕様を変更したのです。これにより、Nomiのサービスに問題が発生しました。つまり、Nomiは以前来店した顧客のMACアドレスを記録しているのですが、iOS8にバージョンアップした顧客は来店するたびにMACアドレスがランダムに変更されるため、特定することができなくなってしまい、これまで使われていたWi-Fiネットワークを利用したMACアドレスからの顧客の特定ができなくなったのです。
アップルはBeaconの採用を市場にアナウンス済み
NomiのCEO(最高経営責任者)であるMarc Ferrentino氏は「Wi-Fiネットワークを使ったこのような追跡方法をアップルは基本的には良いと思っておらず、ビーコンを利用した手法を採用すべきだと市場に訴えていました」とインタビューで語っています。
Nomiは小売り店舗向けのトラッキングサービスでビーコン端末の販売を開始すると告知しました。ビーコン端末はバッテリーで駆動する小さな機器ですが、アップルのiBeacon技術を利用して近くにあるiPhoneとメッセージやデータの送受信が可能になる装置です。
Nomiは現在、これまでのWi-Fiネットワークを利用する新規のトラッキングサービスの提供をやめて、従来のビデオによるカウントと新たなビーコン端末を利用する手法でサービスを提供することにしています。
ビーコン設置は非常に簡単
Nomiは7月初旬には多くの営業スタッフを含め、従業員を解雇しました。これまでのWi-Fiネットワークを利用したシステムの残務処理があり多忙でしたが、ビーコン端末の導入は非常に負担が少なく業務が非常に簡素化したようです。
iBeaconではユーザー側でプライバシーの管理が可能
Ferrentino氏は、「今はiBeaconを利用することで、これまでのMACアドレスを利用した場合に発生するプライバシーに関する問題が、すべてユーザー側で管理が可能となり、アップルのiBeaconを利用したサービスの導入に非常に魅力を感じている」と語っています。
参照元 : re/code
執 筆 : リンゴバックス