アップルが秘密にしている360億円のPrimeSenseの3D技術は何を提供してくれるのか?
アップルは昨年の11月に3Dジェスチャーを認識するセンサーの開発会社、PrimeSenseを3億4,500万ドル(約357億6,100万円)で買収しましたが、その後アップルがこの技術をどう利用し、新たなサービスや機能として展開するのか、うわさやリーク情報は残念ながらありません。
今回新しくiPad向けに提供されたサードパーティー製の3Dカメラを使ったアプリが、将来アップルがこの技術を使ってどのようなユーザー体験を提供してくれるかヒントを与えてくれそうです。
Introducing itSeez3D from itSeez3D on Vimeo.
現在、期間限定で無料で提供されているitSeez3Dと呼ばれるiPad用アプリでは、ユーザーがCADデータや3Dプリンターで使用するための立体モデルデータを専用3D depthカメラ(スキャナー)を使用することで非常に簡単に作成することが可能になっています。
iPadのアプリで3Dプリンターに出力可能なスキャンが可能
itSeez3Dはスキャンしたデータをクラウドサーバに転送し、さらに処理を行い数分で標準的な.plyや.objのファイル形式のデータができあがります。できあがったデータは共有も可能ですし、CADソフトウエアはもちろん、3Dプリンターへの出力も可能です。
このアプリには499ドル(約52,000円)の別売りの3Dスキャニングユニットが必要になりますが、iPadに接続すれば高解像度の3Dモデルのスキャンが誰にでも利用でき、自宅で、しかも個人が高度な3Dモデルの制作を趣味として楽しむことができるようになります。
アップルが買収したPrimeSenseの技術とは
今回のアプリや3D depthカメラは2005年に設立されたPrimeSenseの技術が元になっています。PrimeSenseは2010年にMicrosoftのパートナーとなり、ジェスチャーを認識するXbox用のKinectセンサーを開発することになるのですが、PrimeSenseは独自にタブレット用のモバイルサイズの3Dセンサーを開発していました。同社はオープンソースのOpneNIと呼ばれるフレームワークを提供し、人のジェスチャーだけでなく、音声をも認識するセンサーを開発していたのですが、2013年11月にアップルに買収されました。
以下の動画はアップルに買収される前にPrimeSenseが制作した「3Dセンシングの世界」と題した動画です。ナレーションはありませんが、わかりやすい動画だと思います。同社の技術はビジネスプレゼンテーションはもちろん、ホームオートメーション、テレビやゲームのナビゲーション、自動車との連携、医療機関向けの利用、ショッピングなどを、iPadだけでなく、MacBookやアップルの製品を使ってハンズフリーで操作する、いわゆる「タッチレスインプット」を実現する技術です。
約360億円の買収金額で何が実現されるのか
アップルがPrimeSenseを買収したのが2013年、一方ほぼ同じくらいの金額である3億5,600万ドル(約369億円)でTouch IDセンサーの技術を持ったAuthenTecを買収したのが2012年であり、Touch IDセンサーは昨年既にiPhone5sに搭載されました。
現在、多くのタブレットがアップルのiPadよりも低価格で、アップルは徐々にシェアを落としていますが、この秋に発売される次期iPad AirとiPad miniにはTouch IDが搭載されると予想されています。Touch IDによりアップルとしてはセキュリティを強化し、今後サービスの展開が予想されるモバイル決済機能をiPadシリーズでも提供し、他のタブレットとは差別化を図る狙いがあると思われます。
両社は買収時期にほぼ1年の差がありますが、もうそろそろPrimeSenseの技術を利用した機能やサービスの情報がリークされてもおかしくないような気がしますがどうでしょうか?
参照元 : Apple Insider
執 筆 : リンゴバックス
iPhone Mania編集部
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