Appleは年内にiWatchの発売をしない?胎動のウェアラブル市場
2014年に発売されると言われているアップルのiWatchについて、最近特に情報が多くなってきました。ところが当のAppleからはウェアラブルデバイスについての公式情報はまだ出ていません。しかし、サムスンをはじめ、製品の評価の高いPebbleなど既に多くの競合企業からはスマートウォッチに分類されるウェアラブルデバイスが発売されています。
メディアの中にはこの分野でアップルは既に出遅れているとの報道をしているところがありますし、中にはAppleはiWatchをリリースしないと予想する的はずれなアナリストもでてきました。
アップルの新製品への取り組み方は他社とは違う
サムスンのようなメーカーはスマートウォッチを数年の製品サイクルではなく、数カ月のサイクルで開発しているようです。製品開発の取り組み方がアップルとは違うと思っていいでしょう。実際、サムスンは初代Galaxy Gearを2013年9月、2代目のGalaxy Gea2を2014年4月にリリースし、その間は1年も経っていません。スマートフォンではソニーですら、アップルが年に1回、iPhoneをアップデートしている製品サイクルが、顧客ニーズに合わせておらず自社や競合他社と比べて長過ぎると批判するくらいです。
最近のアップルとサムスンの2回目の特許訴訟でもアップルのシニアエンジニアがiPhoneの開発には3年掛かっていると証言しています。しかし、アップルは的確に新製品を市場にリリースする術を持っています。また、リリースされる新製品にはアップルならではのユーザー体験が感じられる、差別化された機能が必ず盛り込まれています。
先行するサムスンのGalaxy Gearは失敗作
スマートウォッチに搭載して欲しい機能をリストアップして検討する場合に、サムスンのGalaxy Gearは全く参考になりません。どうしてGalaxy Gearをリリースしたのか、サムスンは新しい市場で最初の製品をリリースすることが重要だと思っていたとしか考えられません。または、2013年6月に「サムスン・ショック」と呼ばれるサムスン株の大暴落もあり、当時サムスンは焦っていたという可能性もあります。
いずれにしても、サムスンの初代Galaxy Gearは互換性のあるスマートフォンが少なすぎました、また機能的にも今ひとつでした。返品率が30%を超える失敗作だったのは事実です。だからといってスマートウォッチの市場がないと考えるのは短絡的過ぎますし、Galaxy Gearの売上は市場規模の参考にもなりません。
CES2014はウェアラブルのショーケース
今年初頭にラスベガスで開催されたCES2014では、今年はウェアラブルの年といわれるほど、多くのウェアラブルデバイスが参考出品されていました。形は違いますがGoogleはメガネタイプのGoogle Glassをウェアラブルデバイスとして世にだしていますし、市場もアップルのiWatchの発表に期待するのも当然といえます。市場はiWatchに期待しているわけですし、これが2015年リリースという選択肢がアップルにあるとは思えません。
LGの「LG Lifeband Touch」はアップルへの試作機か?
今回のCES2014で注目するのはアップルのサプライヤーでもある韓国のLGが、今年前半にリリース予定として出品していた「LG Lifeband Touch」です。この製品に着目するのは、以前の記事で紹介したようにLGがiWatchに向けてフレキシブルディスプレイと曲線バッテリーの分野でアップルに協力する可能性があるからです。
アップルはiWatchのバッテリーの持続時間にはこだわりを持っていて、少なくとも数日は充電せずに使用できることを目標としています。当然ですが、バッテリーは鍵となるコンポーネントです。今回の「LG Lifeband Touch」のバッテリーの詳細の仕様は不明ですが、腕にはめる時計型端末ですから曲線バッテリーの採用は不可欠と考えられます。
また、同製品にはOLEDディスプレイが採用されていて、曲面にも対応可能でiWatchのデザインから考えて、これも採用されるコンポーネントの一つでしょう。今さらGalaxy Gearのような平面ディスプレイをデザインにこだわるアップルが採用するとは思えません。LGは「LG Lifeband Touch」でこれらを既に実現しています。
LGは「LG Lifeband Touch」を2014年の前半にリリースする予定だとしていますし、既に製品を自社サイトで紹介しています。つまり、これらのコンポーネントの生産体制は整っていると考えられます。
本来は、LGがこの商品を世界市場に打って出るというのが本来のビジネス展開なのでしょうが、LGが持てる技術をアップルに提供してアップルがさらに洗練したデザインと機能を付加してマーケティング展開し、全世界で販売する。LGはサプライヤーに徹した方がビジネス的には間違いなく成功すると考えますがどうなのでしょうか。
今回のCES2014に出品されたアイテムの中で、ソニーのCORE、SmartBandも人のライフログにフォーカスし、生活をトラッキングする機能があるようで大変興味を持っていますが、その他の製品は時計の域を出ておらず、機能的にも今一つでアップルが提供しようとするユーザー体験を感じさせることはできないと思います。
ただ、この「LG Lifeband Touch」だけがiWatchのコンセプトに一番近い気がしていて、ひょっとしたら既にアップルとLGが提携してアップルの代わりに機能を限定して、この製品をテストマーケティングで出品したのではないかとも思えてしまいます。
イヤホンが心拍数をカウント、iWatchにイヤホンは重要な役割を果たす
アップルはイヤホンについて既に新たな特許を取得し、iWatchなどのウェアラブルデバイスとBluetoothでペアリングしての使用を想定しているようです。この特許ではイヤホンに多機能センサーを搭載して心拍数、体温、発汗量を計ることを可能にしています。また、加速度センサーも内蔵し、ランニングの走行距離や首の動きでデバイスの操作も可能にしています。今回の「LG Lifeband Touch」にはHeart Rate Earphoneという互換性のあるイヤホンがアクセサリーとして用意されており、心拍数のカウントが可能となっています。
イヤホンに関連した情報では、アップルは世界で4番目に大きな補聴器メーカーであるGN Store Nordと協業し、Bluetoothのような技術を使って音声データをやりとりする技術を研究しているという報道もあり、リリースされるiWatchにはイヤホンが不可欠なアクセサリーとなる模様です。また、イヤホンにはマイクも内蔵されSiriに音声でさまざまな指示が可能になります。
アップルは後発組として新製品を発表
アップルはiPhoneをリリースするときにはスマートフォンのメーカーとしては後発組でした。既にTreo、BlackBerry、Windows Mobile、Symbianなどスマートフォンメーカーが製品を提供しユーザーを獲得していました。
しかし、多くのスマートフォンが抱える課題を解決し、満を持してiPhoneをリリースしたのです。実は同じことがiPadにも当てはまり、タブレットPCの失敗の後にiPadがリリースされているのです。
今回のスマートウォッチの競合となる製品や市場の成熟度はスマートフォンやタブレットPCほど進んではいませんが、アップルのCEOティム・クック氏が今年2月にウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対して「新しいカテゴリーの製品」に注力していると述べているのはiPhoneでもiPadでもない、iWatchであると考えられます。
■iWatch特集記事
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執 筆:リンゴバックス
iPhone Mania編集部
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