Tモバイル買収前進か?ソフトバンク、ドイツテレコムと直接交渉
ソフトバンクが、アメリカの携帯電話シェア3位のスプリントを昨年買収し、同じく4位のTモバイルUSの買収・統合を目指し、TモバイルUSの親会社であるドイツテレコムとの直接交渉を進めているとブルームバーグが報じています。
ソフトバンクは国内外の銀行から買収資金調達に向けた交渉を進めているとも報じられており、買収が現実的なステップに入ったことを示唆しています。TモバイルUSを買収しスプリントと統合することで、最大手のベライゾン、二番手のAT&Tの有力な競争相手となることから、交渉の行方が注目されます。
アメリカ携帯電話業界の大規模再編へ
ソフトバンクの子会社、米スプリントが2014年前半にもTモバイルUSを買収・統合するとのニュースは、昨年12月中旬に報じられ、アメリカの携帯電話業界の大規模再編につながると話題になりました。
プリペイドを含む、アメリカの携帯電話契約者数(2013年第3四半期末)は、首位がベライゾンの約119万件、2位がAT&Tの約109万件、3位がスプリントの約55万件、4位がT-モバイルUSの約45万件の順で、ベライゾンとAT&Tの2強体制となっています。スプリントとT-モバイルUSの合併が実現すれば、約100万件の契約者数となり、順位は3番手のままですが、現在の2強体制から三つどもえ体制への業界地図は大きく塗り替えられることとなります。
注目のT-モバイルUS、ドイツテレコムとは?
TモバイルUSは、ドイツ最大の通信会社・ドイツテレコムにルーツを持つ携帯電話事業者、Tモバイルの米国法人です。TモバイルUS株式の67%を保有しているドイツテレコムは、米国市場型の撤退を検討しており、スプリントによるTモバイル買収は渡りに船と言える状況だったようです。
ドイツテレコムは、旧西ドイツの郵政・通信公社ブンデスポストの通信分野が1989年に分割された後、1995年に民営化されています。現在もヨーロッパ有数の通信会社です。
買収報道によるソフトバンク等の株価への影響は?

各社の2013年7月からの株価推移
ソフトバンクは2013年7月にスプリントの買収を完了したほか12月にはTモバイルの買収が報じられるなど、相次ぐ積極的な投資戦略が国内外の投資家からも注目を集めました。株価は2013年当初の3,125円から、年末には9,200円まで上昇し、時価総額でもトヨタ自動車に次ぐ2位にまで増大しました。
スプリントの株価は、ソフトバンクに買収された直後に2013年7月に5.5ドル前後だった株価が、TモバイルUSとの統合が報じられた後に上昇し、2013年末には10.79ドルにまで上昇しました。TモバイルUSの株価も、7月に24ドル程度だった株価が年末には33.64ドルまで上昇しており、投資家からの期待が高まっていることを物語っています。
昨年末には、日本経済新聞がソフトバンクの積極的買収戦略の裏にある緻密な資金計画について分析・報道しています。
カギを握るアメリカ当局の独占禁止法に関する動き
ソフトバンク、スプリント、TモバイルUSそして銀行が買収に向けて動く一方、アメリカの司法省や連邦通信委員会(FCC)は、現在までのところ意思表示を見せていない模様です。2011年、業界2位のAT&Tによる4位のTモバイル買収計画は、司法省による認可がおりずに頓挫した経緯がありました。ソフトバンクの孫社長は、シリコンバレーの拠点から買収に関する交渉やロビー活動を行っているとの情報もあり、本気度が伝わります。
3位・スプリントによる4位・Tモバイルの買収が認可されれば、アメリカの携帯電話業界の勢力図は大きく塗り替えられます。両社の統合により、スケールメリットを活かしたiPhoneなどの端末調達や、モバイル通信技術開発研究の効率化が期待できることから、日本の携帯電話業界への波及効果も少なくないと考えられ、日本のユーザーへのメリットも期待できます。国境を超えた大規模M&Aの進展から、今後も目が離せません。
参照元:ブルームバーグ
執 筆:hato
iPhone Mania編集部
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