2014年1月16日 14時50分
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アップルCEOティム・クック氏が語る中国移動との交渉
アップルのCEOティム・クック氏は北京で中国の少数のメディアと世界最大の携帯電話会社である中国移動とのiPhoneの販売契約についての取材に応じており、ポイントとなる一問一答を出席したウォール・ストリート・ジャーナルが伝えています。
「中国市場での安価な端末販売により価格競争が激しくなりますがアップルとしてはどう考えていますか?」
個人ユーザーでも法人ユーザーでも、例えば北極星のように不変で指標となるような何かがあることが重要だと考えています。非常にたくさんのものが移り変わっていきますが、北極星は不変で輝いています。アップルはいつも世界で最高の製品を作っています。これこそがアップルの戦略であり、今日も明日も明後日も来年も変わらないことだと考えています。
中国のマーケットについてはユーザーのシェアは絶えず変動しています。既にiPhoneをはじめとするiOSデバイスによるウェブへのアクセスは57%にも達しているという調査結果もありますが、違った視点でのシェアも報告されており、皆さんは信頼できると思う数値を信用すればよいと思いますが、アップルにとってそれらの数値は北極星ではないのです。
われわれは、たくさんの製品を売りたいと朝に思いながら一日を始めたりはしません。今日も世界で最も良い製品を創ろうと思って朝起きているのです。これがアップルの不変な戦略なのです。
「中国移動を通じてiPhoneが販売されることで何が一番重要になりますか?」
アップルと中国移動との提携では、今回初めて中国で提供されるTD-LTEネットワークサービスと共にiPhoneが販売されることになり、中国ではこれまでとは別のレベルのiPhoneの体験を提供できることになります。これは中国移動の奚国華(Xi Guohua)会長も指摘したとおり、これは全く新しいサービスであり、iPhoneがグローバルな電話となったのです。例えば中国のTD-LTEに対応したiPhoneユーザーがアメリカに旅行した場合にはアメリカのFDD-LTEネットワークでそのまま使用することができるのです。これは素晴らしいことです。
「中国市場でのアップルの業績と今回の中国移動との提携で売上予想はどうなりますか?」
前回の四半期決算では中国市場での売上額については公表していませんが、前四半期の売上はこれまでの中国市場での売上をはるかに超える売上を記録しています。これはアメリカで初めてiPhoneを発売した時と同じくらい記録的な売上だったといえます。そして、今回多くの中国のお客さまが待ち望んでいた中国移動の4GネットワークとiPhoneが一緒になったことで大きな障害も取り除かれ、まさしく大きな転機となり記念となる日を迎えることができたと思っています。
「中国移動が正式にiPhoneを販売することになりますが、これまで並行輸入し販売されていた、いわゆるグレイマーケットのiPhoneへの影響をどうお考えですか?」
グレイマーケットというのは、欲しいものが手に入らないから生まれたマーケットだと考えています。これまでは中国移動のユーザーは正式にiPhoneを中国移動から購入できませんでしたが、これからは素晴らしいスタッフから、素晴らしいサービスとともに認定された中国移動の店舗でiPhoneを購入することができるようになります。この週末にはこれまでの店舗に加えて3,000以上の新しい店舗でもiPhoneの販売を開始する予定です。
「販売チャンネルの構築について中国移動とどのように協力していく予定ですか?」
中国移動はアップルが今だ進出していない中国各都市に既に店舗を出店しており、中国移動のもつノウハウや物流ネットワークの支援を受けながらアップルは今後中国各都市に店舗を出店していく予定です。
「iPhoneの販売については最終契約までに6年掛かったわけですが交渉はどうだったのでしょうか?」
iPhoneが中国の新しいネットワークであるTD-LTEに対応したのが昨年の9月、中国政府による認可が下りたのが11月、契約について公表したのが12月ですから、実際かなり速いスピードで合意ができたと思っています。2012年の秋に開催した会議で奚国華(Xi Guohua)会長と私がクパチーノで会って、8〜10週間後の2013年1月には北京を訪問し会議の席上で握手を交わし、基本的に合意しています。もちろん、その後の契約の詳細の詰めで時間は掛かっています。
「提携した中国移動についてはどう思われていますか?」
中国移動は、これまで提携した他の企業にはないずば抜けた能力と膨大な規模とスケール感をもつ企業です。これは私の個人的な感想ですが、2008年から行ってきた会議では非常に安心感を持ちながら会議をすることができ、最終的にはお互いが理解し合いながら進めることができたと思っています。非常に良い関係というのは、いつも同意ばかりしていて成り立つものではありません。また、彼らは自分たちの立場だけでなく、私たちの側に立ってもさまざまな課題を検討してくれて、両社にとって非常に有意義な時間を共有できたと思います。これは最終的にはアップルと中国移動のお客さまにとっても良い結果をもたらしたと思っています。
参照元: WSJ
執 筆:リンゴバックス
著者情報
iPhone Mania編集部
iPhone Mania編集部です。iPhone、MacなどApple製品が大好きな国内外のライターが集まり、2013年から記事を執筆しています。Apple製品の最新情報から使い方、お役立ち情報まで、幅広くお伝えしていきます!
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