Appleの調達力に異変!メモリ不足は2030年まで〜iPhoneに影響か

Apple iPhone18 Pro SK hynix NAND

Appleが長年維持してきたメモリサプライヤーに対する強い価格交渉力が、AI需要の急拡大によって揺らいでいると報じられています。主要サプライヤーのSK hynixは、メモリの供給不足が2030年まで続くと予測。iPhoneの価格だけでなく、Appleの利益にも影響が出始めています。

Appleとメモリサプライヤーの力関係に変化

Appleはかつて世界最大のNANDフラッシュメモリ購入企業として、サプライヤーとの価格交渉を有利に進めてきました。しかし、AIデータセンター向けの需要拡大によって、この関係が逆転しつつあるとThe Wall Street Journal(WSJ)が報じています。

WSJによると、AppleはかつてNANDフラッシュメモリの価格が下落すると、注文済みの製品の受け取りを拒否することもあったそうです。また、他社にAppleよりも有利な価格で販売していないか確認するため、サプライヤーに取引情報の開示を求めていたとされています。

こうした厳しい交渉の相手として報じられているのは、日本のキオクシアや米国のSandiskです。

調査会社TechInsightsの推計では、2年前のAppleはMicrosoft、Amazon、Meta、Googleの4社合計の約2倍のフラッシュメモリを購入していましたが、現在は大手クラウド事業者の購入量がAppleの約2倍に達しています。

サプライヤーにとってApple以外の大口顧客が増えたことで、Appleが従来のように価格交渉を主導することは難しくなっています。

SK hynix、メモリ不足は2030年まで続くと予測

Appleにメモリを供給するSK hynixは10月28日の決算発表で、メモリの需要が供給を上回る状態は2030年まで続くとの見通しを明らかにしました。

AI向けの需要が急拡大する一方、先端半導体の製造技術の難しさや、新工場の建設に必要な時間などから、短期間での供給拡大は難しいと説明しています。

SK hynixはすでに大手顧客14社と長期供給契約を結び、2027年〜2028年の生産能力の50%以上に相当する数量について、販売先を確保したと発表しています。

これらの契約には、あらかじめ合意した価格帯の範囲内で市場動向を価格に反映させる仕組みも盛り込まれています。長期契約によって必要な数量を確保できても、価格上昇を完全に避けられるわけではありません。

なお、Appleがこの14社に含まれるかは公式には明らかにされていません。

2026年9月には、AppleがNANDフラッシュメモリについて、価格よりも供給数量の確保を優先する長期契約を結んだとの情報が報じられました。契約先はキオクシアが有力とされています。

iPhoneの容量アップで得る粗利益、約28%減少

メモリの高騰は、iPhoneの販売価格や、ストレージ容量アップでAppleが得る利益にも影響が及んでいます。

TechInsightsの推計によると、iPhone18 Proのストレージを256GBから512GBに変更する際、Appleが得る追加的な粗利益は134ドルです。前年のiPhone17 Proでは185ドルでした。

256GB→512GBへの変更iPhone17 ProiPhone18 Pro
追加料金200ドル200ドル
Appleの推計粗利益185ドル134ドル

同じ200ドルの追加料金でも、Appleの粗利益は51ドル、約28%減少した計算です。

これは端末全体の利益ではなく、ストレージ容量の変更に伴う追加的な粗利益の比較ですが、メモリ高騰の影響を示す数字といえます。

iPhone Maniaでは8月、TrendForceの調査をもとに、iPhone18 Proの総部品原価に占めるメモリの割合が約34%に達するとの予測を紹介しました。

iPhone17 Proでは約10%だった割合が急上昇しており、2027年上半期には40%を超えると予測されています。

なお、このメモリには、データの保存に使うNANDフラッシュメモリと、動作中のデータを一時的に保持するDRAMの両方が含まれます。

iPhoneの価格やストレージ構成への影響は?

Appleは、調達コストの上昇を販売価格に転嫁するか、利益を減らして吸収するかという難しい判断を迫られています。

実際、2026年にはiPhoneやiPad、Macなど、Appleの幅広い製品でメモリ高騰を背景とする値上げが行われています。

一方、iPhone18 Proシリーズでは、想定を下回る需要を受けてAppleが10月分の部品発注数を当初計画から最大20%削減したとの報道もあります。値上げが需要に影響した可能性が指摘されていますが、販売動向には製品ラインアップなど複数の要因が関係していると考えられます。

今後もメモリ価格が高止まりすれば、次世代iPhoneの販売価格だけでなく、大容量モデルへの変更料金やストレージ構成の見直しにつながる可能性もあります。

ただし、SK hynixが予測しているのは2030年までの需給逼迫であり、メモリ価格が毎年上昇し続けると決まったわけではありません。

かつて調達価格を引き下げる側だったAppleが、今は価格上昇を受け入れてでもメモリを確保する側になりつつあります。こうした変化が今後のiPhoneの価格設定やストレージ容量の選択肢にどう影響するのか、注目されます。

Source: The Wall Street Journal, MacRumors, 9to5Mac, SK hynix
Photo: Apple, SK hynix

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