スマホのリチウムイオン・バッテリーに隠された恐ろしい話

    バッテリー apple

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    アップルのようなテクノロジー企業が使用しているリチウムイオン・バッテリーは児童労働によってまかなわれている――アムネスティ・インターナショナル(以下アムネスティ)が衝撃的な報告を発表しました。

    手にしているスマホも元を辿れば……

    スマートフォンから電動歯ブラシに至るまで、あらゆるテクノロジー製品に採り入れられているリチウムイオン・バッテリーですが、アムネスティによると、同バッテリーに必要なコバルトの採掘場の一部で、児童労働が行われていることが発覚しました。
     
    問題となっているのは、中国のコバルト採掘業者Huayou Cobaltの下請け企業Congo Dongfang Mining(CDM)で、現地で児童を採掘に携わらせ手に入れたコバルトを、中国や韓国の3つのバッテリー製造企業に売っているそうです。
     
    テクノロジー企業が直接採掘業者から買い付けを行っているわけではなく、間にトレーダーやバッテリー製造業者などを介するシステムであるため、アップルが直接的に関与しているわけではありません。しかし、最終的に消費者が日常的に手にしているiPhoneも、元をさかのぼればこのような児童労働に辿りつくのではないかと、ニュースサイトApple Insiderは示唆しています。

    人権問題に真剣に取り組んでいるアップル

    アップルはアムネスティに対し、バッテリーに用いているコバルトの大元を特定することは不可能であり、同社がCDMやHuayou Cobaltと関係性があるのかも分からないとのコメントを発しました。アムネスティから質問を受けた他のテクノロジー企業も、同様の回答を提示しています。
     
    またアップルは、「児童労働は我々のサプライチェーンでは絶対に許されないことであり、新たなセーフガードを業界内で先駆けて採り入れていることを誇りに思っている」とBBCのインタビューに回答し、「我々は現在、コバルトも含め、数十もの異なる素材を評価している。効果的かつ定量的、そして持続性のある変化をもたらすべく、アップルは機会同様に労働問題や環境リスクなども踏まえて吟味している」と、今後も積極的に人権維持への取り組みを行っていくことを改めて明らかにしました。
     
    サプライチェーンでの不法労働問題については、アップルはこれまでにも監査チームを定期的に派遣するなど、厳密な体制で臨んでいます。事実、同社の集中的な改善取り組みによって、南京虫が跋扈していると問題になったサプライヤーの1つPegatronですら、アップルの定めた労働時間の遵守率が13年の7%から14年には42%へと大幅向上しています(サプライヤー全体では92%)。
     
    似たような問題はかつて、一部のダイヤモンドが強制労働によって採掘されていることを暴いた映画「ブラッド・ダイヤモンド」でも話題となり、ダイヤモンド不買運動の巻き起こりや購入者の問題意識を高めるきっかけとなりました。
     
     
    Source:Apple Insider
    (kihachi)

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