総務省、eSIM今夏導入、新プランでもキャリアメール対応など求める報告書案を公開

    総務省 iPhone メール

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    総務省は、3月30日に開催した有識者会議で、eSIMの導入促進、SIMロックの禁止、キャリアメール持ち運び、MNP手続きの円滑化についての報告書案を公開しました。

    今後パブコメを経て5月に正式決定

    3月30日に開催された総務省の有識者会議「スイッチング円滑化タスクフォース」第6回会合で、携帯電話事業者の乗り換えをスムーズにするための政策をまとめた報告書案が公開されました。
     
    報告書には、2月末の会議で検討の方向性を整理した、以下の事項について方針がまとめられており、今後パブリックコメントの受付が行われ、5月に正式決定する予定です。
     

    1. eSIMの導入推進
    2. SIMロックの一律禁止
    3. キャリアメールの持ち運び
    4. MNP手続きの円滑化

     

    eSIM:2021年夏をめどに導入へ

    iPhoneのシェアが高い日本国内では、2018年のiPhone XS/XS Max/XR以降のモデルでeSIMに対応しており、2020年上期の出荷台数ベースで43.3%がeSIMに対応しています。
     
    総務省「スイッチング円滑化タスクフォース」
     
    しかし、楽天モバイル以外の3大キャリアの対応は限定的で、諸外国と比べて日本ではeSIMの普及率は低いのが実情です。
     
    報告書案では、eSIMについては、新型コロナウイルス感染症の収束を見据えつつ、2021年夏頃をめどに3大キャリアで導入するのが適当、としています。
     
    同時に、利用者へのサポートの充実、セキュリテイの確保、eKYCによるオンラインでの本人確認の推進についても言及されています。

     

    SIMロック禁止:速やかな対応が必要

    報告書案はSIMロックを、事業者の事情で設定されているにすぎず、大多数の利用者にとって「権利を不当に制限されるもの」と強く批判し、速やかな対応が必要と位置付けています。
     
    2019年11月に改正された、総務省のSIMロックに関するガイドラインを踏まえて、楽天モバイルとMVNO各社がSIMロックを設定していない一方、3大キャリアは現在も端末にSIMロックを設定しています。
     
    総務省「スイッチング円滑化タスクフォース」
     
    報告書案は、クレジットカードによる信用確認ができる場合など、端末の割賦代金を支払わないなどの不適切な行為が行われる可能性が低い場合、SIMロックを解除した端末を渡すことを求めています。
     
    また、信用確認ができない場合でも、婚約指輪や高級カメラなど高額商品の支払いが完了するまで機能が制限されることはない、としてSIMロック以外のリスク対策を講じることを各事業者に求めています。

     

    キャリアメールの持ち運び:新プランでも2022年夏までに実現を

    報告書案は、キャリアメールについて、本人確認を行って提供される信頼性の高いサービスと位置付けられていること、アドレスが変わることが事業者乗り換えの阻害要因となっていることを挙げつつ、大手キャリアによる新料金プランではキャリアメールが提供されないなど、環境が変化していることに触れています。
     
    そのうえで、キャリアメールの持ち運びには一定のニーズがあるとして、変更元事業者が管理する方式で、キャリアメールのないサービスでも利用可能にするべき、として2022年夏頃までの実現を求めています。
     
    総務省「スイッチング円滑化タスクフォース」
     

    MNP手続きの円滑化:2年以内をめどにワンストップ化を

    日本では現在、MNP手続きには転出元と転入先の両方の事業者で手続きが必要な「ツーストップ方式」が導入されています。
     
    総務省「スイッチング円滑化タスクフォース」
     
    2021年4月から、MNPに関するガイドラインが改正され、手数料の無料化、過度な引き留め禁止が制度化されるものの、利用者は転出元と転入先の両方で手続きが必要な状況が続きます。
     
    報告書案では、諸外国でも一般的な、転入先だけで手続きが完結する「ワンストップ方式」が利用者の負担が軽く理想的としながらも、事業者間のシステム共通化、解約時の重要事項説明など、今後も検討すべき課題があるとしています。
     
    そのうえで、ワンストップ化の実現時期は「2年以内をめど」と、上記の3つと比べ、曖昧さの残る結論となっています。
     
     
    Source:総務省, Sankei Biz
    (hato)

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