総務省、eSIMの今夏導入、来年夏までのキャリアメール持ち運び実現など求める

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    総務省は2月26日、eSIMの推進、SIMロック解除の推進、キャリアメールの持ち運び、MNP手続きの円滑化を検討する有識者会議「スイッチング円滑化タスクフォース」の第5回会合を開催し、検討の方向性を公表しました。3月下旬に結論を取りまとめる予定です。

    2021年3月に報告書案を提示しパブコメを実施

    「スイッチング円滑化タスクフォース」は、2020年11月に第1回会合が開催され、携帯キャリア各社や一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会などからの意見を聞き、検討を進めていました。
     
    2月26日の会合では論点整理として議論の方向性がまとめられました。今後は、3月下旬の次回会合で報告書案を提示、パブリックコメントが行われる予定です。
     
    なお、この日の会合では、NTTドコモとKDDIが解約に関するページが検索結果でヒットしないようにしていたことも指摘されています。

     

    1. eSIM:2021年夏にMNO各社も導入へ

    eSIMは、物理的なSIMカードを差し替える必要なく通信事業者を乗り換えられ、オンラインで手続きが完結するメリットがあります。
     
    総務省 スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)
     
    2018年のiPhone XS/XS Max/XR以降のiPhone各モデルのほか、Google Pixel 3以降などのモデルが対応していますが、日本国内では楽天モバイル以外のキャリア(MNO)3社はeSIMサービスを提供していません。
     
    総務省 スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)
     
    タスクフォースでは、eSIMのメリットを活かしつつ、セキュリティを確保するためにeKYC(オンラインでの本人確認)を活用し、MNOだけでなくMVNOでも2021年夏をめどに導入するべき、との案が示されています。

     

    2. SIMロック:一律禁止へ

    タスクフォースは、SIMロックは端末の割賦代金を支払わない、端末の詐取や転売といった不適切な行為を防ぐという通信事業者の都合によるもので、大多数の利用者にとっては事業者乗り換えの障壁となっており権利が制限されている、と指摘しています。
     
    現在、MVNO各社と楽天モバイルはSIMロックを設定していません。MNO3社では、NTTドコモは2020年8月から一括払いや信用確認が取れれば全端末のSIMロックを解除、KDDIとソフトバンクは購入者の申し出があった場合にSIMロックを解除しています。
     
    総務省 スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)
     
    総務省は、NTTドコモのSIMロック解除件数が大きく伸びたのに対し、KDDIとソフトバンクではほぼ横ばいであることから、購入者の申し出を必要とすることでSIMロックが多く残っている、と指摘しています。
     
    タスクフォースの案では、SIMロックを、高級カメラなどの割賦払いで支払いが滞った場合に備えて機能を制限しておく例はみられないと例え、通信事業者のリスク管理には他の方法を採用するべきであり、SIMロックは一律に禁止されるべき、としています。

     

    3. キャリアメールの持ち運び:2022年夏までに実現へ

    タスクフォースはキャリアメールについて、SNSの普及によりニーズは大幅に減少し、MNO3社の新料金プランではキャリアメールを提供しないサービスも出現しているものの、本人確認を行った上で提供される信頼性の高いサービスであり、一定程度のニーズがある、と位置付けています。
     
    タスクフォースでは、1) 変更元事業者が管理する方式と、2) 転送による方式を検討し、委員からは「負のレガシーとなる可能性がある」と指摘があったほか、コスト負担が課題と位置付けられ、4Gや5G対応端末ならIMAPメーラーの利用により持ち運びが実現しやすいことなどが議論されました。
     
    総務省 スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)
     
    検討の案としては、変更元管理方式により、利用希望者全員に提供するのが望ましく、MNO3社の新料金プラン利用者も含め、2022年夏頃までには実現するべき、としています。
     
    なお、NTTドコモKDDIは、2020年11月に、iOS14以降のiPhoneでキャリアメールの一部アドレスでメール送信ができなくなる、と案内しています。
     
    これは、2連続のドット(..)や「@」の直前にドットが含まれるアドレスが、インターネット関連技術の標準仕様であるRFCの規格に違反しているためです。

    4. MNP手続きの円滑化:今後2年以内にワンストップ化へ

    タスクフォースでは、利用者が移転元と移転先の両方に手続きをする現在の「ツーストップ方式」から、海外先進国でも採用事例が多い、移転先の事業者とだけやり取りする「ワンストップ方式」に移行することを目指した議論が行われていました。
     
    総務省 スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)
     
    また、ワンストップ方式の中でも、スイッチング支援システムを構築する案と、APIにより既存システムを自動化する案が検討されました。
     
    総務省 スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)
     
    検討の方向性案として、契約上の重要事項説明に関する検討、MNOとMVNO各社のシステム改修などに必要な時間を踏まえ、今後2年以内をめどにワンストップ化を目指し、可能であれば時期を前倒しするのが適当、との方向性が示されました。

     
     
    Source:総務省
    (hato)

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    この記事を書いた人

    2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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