iPhone XRはiPhone5cでの失敗が活かされたモデルだ

    iphone xr product red apple

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    64GBで84,800円とはいえ、iPhone XRは新たな3モデルのなかでは“廉価版”という位置づけです。廉価版とされるモデルがリリースされるのは2013年のiPhone5c以来ですが、この時に得た教訓をAppleは活かしてきたようです。

    破格の安さだったiPhone5c

    テク・アナリストのベン・トンプソン氏いわく、iPhone XRにはiPhone5cでの失敗が活かされているそうです。
     
    16GBモデルが99ドル(約11,000円、キャリアとの2年契約時)という価格からも分かるように、iPhone5cは2013年にリリースされた当時、新興国を中心とした「高価なiPhoneに手が出せない」層の需要を大きく見込んでいました。
     
    iphone5c
     
    また、フラッグシップモデルであるiPhone5sとの差別化を明確に行うため、当時のiPhoneで採用されていたモノトーンベースではなく、ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、ホワイトの5色展開というカラフルさがアピールされたのも特徴でした。

    大衆向けのiPhoneは望まれていない

    ところが、iPhone5cは期待していたほどには売れず、Apple早くも2013年末には製造停止を決定します。不振に終わった主な理由としては一般的に、他社に比べて価格が高かった(今からすると破壊的な安さですが)からだとされています。
     
    ベン・トンプソン氏も「Appleの顧客は最高のiPhoneだけを望んでいた」と述べます。つまり、最新のA7チップではなく前年度のA6チップを採用したうえに、ケースがプラスチック製のiPhoneを望んでいたわけではなかった、というわけです。
     
    ここからAppleは「大衆向けの市場には足を踏み入れるべきではないし、顧客もそれを望んでいない」という教訓を得た、とトンプソン氏は結論づけます。

    iPhone XS/XS Maxと遜色ない

    翻って今回のiPhone XRを改めて見ると、フレームこそステンレススチールではなくアルミニウムを採用してはいるものの、プラスチック製のような“安物感”とは一線を画しています。
     
    背面はiPhone XS/XS Max同様にガラスで覆われ、ワイヤレス充電や高速充電にも対応しています。最新のA12チップ、ノッチデザインを採用しているという点も同じです。
     

     
    シングルカメラ(ボケ機能には対応)や液晶ディスプレイ(LCD)、画面解像度が他モデルに比べて低い、3D Touchがない(Haptic Touchで代替)という特徴こそありますが、iPhone5cの時に消費者が感じたとされる「廉価版だとひと目で分かる」気配はまるでありません。それどころか、6色のカラーバリエーションが強みにすらなっています。

    Androidに対抗しうるロングヒット商品へ

    さらにベン・トンプソン氏によると、Appleは2020年までiPhone XRをラインナップに加え続ける可能性が高いそうです。わずか1年で“お役御免”となったiPhone5cと異なり、価格を調整しながら長期販売を行うことでロングヒット製品にしたいというわけです。
     
    すでに、A12チップを搭載したiPhone XSがベンチマークテストAnTuTuで、既存のスマートフォンが超えられなかった30万点の壁を安々と乗り越えたばかりか、36万点という高スコアを出しているだけあって、同じA12を採用しているiPhone XRも相当なパフォーマンスを発揮することが期待されています。
     
    こうしたことを理由に、トンプソン氏は「2020年になっても魅力的な選択肢となるばかりか、Android端末にすら対抗していける」と太鼓判を押します。このところ、スマートフォン市場における出荷台数シェアでAndroid陣営に押し負け気味のAppleが大きく飛翔する鍵になるのか、今後の展開に要注目ですね。
     
    なお、iPhone XRは10月19日より予約開始、10月26日より発売となります。
     
    Source:STRATECHERY via 9to5Mac
    (kihachi)
     

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