Apple、実は捜査機関にiMessageのログを提供していた―調査メディアが暴露

    iphone imessage 警察 情報

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    今日に至るまでAppleは、iMessageをユーザー本人と送信相手以外には誰にも関知できないものとして、その高い秘匿性を大きくアピールしています。しかし、ジュリアン・アサンジやエドワード・スノーデンの独占レポートで知られるウェブメディアThe Interceptの報道によって、AppleがiMessageの情報を捜査機関に対して部分的に開示していることが分かりました。

    ユーザー情報をAppleのサーバーに記録していた

    iOS端末で電話番号を入力し、テキストメッセージを送信する時、「メッセージ」アプリはそれがSMS/MMS経由で送信されるべきものなのか(緑の吹き出し)、よりセキュリティが保持されているApple独自のサービスiMessage経由で送信されるべきものなのか(青い吹き出し)を判断するため、Appleのサーバーに接続しています。
     
    ところがその際、Appleは誰がiMessageを使い、誰が使っていないかといったユーザー情報を記録していることが、The Interceptが独自に入手した資料から明らかになりました。さらに悪いことに、その記録には電話番号を入力した日付や時刻、IPアドレスなども含まれていることも判明しています。

    位置情報は含まれていないとされてはいるが

    実際に同メディアが公開した画像では、「もしiMessageアカウントについて、裁判所命令をAppleに送付した場合、何を入手できるのか」というタイトルで、2014年にAppleが開示してきた情報が例として公開されています。
     
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    画像からは、IPアドレスや電話番号(数字はダミー)など、個人を特定しうる情報がはっきりと記されていることが確認できます。丁寧に太字で「ログではコミュニケーションが行われた場所は示されない」と記載されてはいますが、知ってのとおりIPアドレスからはおおよその位置情報が特定可能です。

    Appleは事実関係を認めるもプライバシー保護姿勢を強調

    同社はThe Interceptの取材に対し、データを記録し捜査機関に協力している事実は「おおむね当たっている」と認めており、その上で「本来ならば最大60日間保持してもおかしくはないところを、直近30日間分しか記録していない」「コミュニケーションの内容は暗号化されておりエンドツーエンドであるため公開されない」と、なおも顧客のプライバシーが守られていることを強調しています。
     
    確かに、Apple公式サイトに掲載されているプライバシーポリシーには、

    お客様の居住国内外において、法律、法的手続、訴訟および/または公的もしくは政府機関からの要求により、Appleがお客様の個人情報を開示することが必要になる場合があります。また、当社は、国家安全保障、法の執行またはその他の公益の実現のために開示が必要または適切であると判断した場合、お客様に関する情報を開示することがあります。

    と記載されており、Appleが捜査機関に情報を提供するケースもあり得ることが示唆されています。
     
    また、電話会社が電話についてのメタデータを収集し司法機関に開示するケースは珍しくなく、Appleのケースもその範疇にすぎないとする声もあります。
     
    しかし、自社のメッセージプラットフォームが通常のメッセージ送受信よりもセキュリティ面で優れていることをアピールし、様々な局面で顧客のプライバシーを保護する姿勢を強く打ち出してきたAppleを、一般の電話会社やその他の企業と同列に語ることは難しいのではないか、とThe Interceptは手厳しく示唆しています。

    ポーズだったのか?それとも「仕方がない」のか?

    FBIとのiPhoneロック解除騒動が起きる前の2015年に、ニュースサイトRe/Codeがいみじくも「Appleの新製品は『プライバシー』」と喝破したように、結局はAppleのプライバシー保護もポーズに過ぎないのでしょうか。それともBlackBerryのジョン・チェン最高経営責任者(CEO)の、「犯罪者にまで原理主義的なプライバシー尊重を適用する必要はない」という考えを実はAppleも共有しているのでしょうか。
     
    BlackBerryのCEOが上記のように述べたとき、「誰が犯罪者かどうかを決めるんだ?」という鋭い指摘がありましたが、個人情報をたとえ部分的にせよ記録し開示していたとすれば、今まさに同じ問いがAppleに対して投げかけられていると言えるでしょう。
     
     
    Source:The Intercept,Apple
    (kihachi)

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    この記事を書いた人

    丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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