日本通信が個人向け格安SIM撤退!総務省のMVNO推進策も見直し必要に!?

    b-mobile

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    格安SIMサービス「b-mobile」で知られる日本通信が、個人向けSIM事業について、動画配信大手のU-NEXTと協議を開始したと8月10日に発表しました。MVNOが過当競争状態となる中での先駆者の撤退は、今後の国の政策にも影響があるかもしれません。

    業界のパイオニアも大手の参入に苦戦

    2009年からいち早く格安SIMサービスを展開し、MVNO事業のパイオニアであった日本通信が、個人向けSIM事業をU-NEXTに譲渡するとの発表を、11日の日本経済新聞は「個人向け事業から撤退」「早くも淘汰が始まった」と報じています。
     
    今後の「b-mobile」ブランドの扱いなどは発表されていませんが、日本通信は個人向けサービスから、他のMVNO向け事業に軸足を移す方針です。
     
    業界のパイオニアであり、最近も「ポケモンGOしか使えないSIM」を発売するなど、意欲的な事業展開で話題になることの多かった日本通信ですが、NTTコミュニケーションズやIIJ、楽天など知名度の高い大手の参入が相次ぐ中で苦戦を強いられていました。

    利用者満足度は高いが発展途上のMVNO市場

    MVNO事業者の提供する格安SIMサービスは、2013年11月にiPhone5sのSIMフリーモデル発売、2015年のSIMロック解除制度化をきっかけに注目を集めています。
     
    独自の回線設備を持たず、ドコモなど大手キャリアに接続料を払えば事業が可能となることもあり、近年は新規参入が相次ぎ、MVNOの数は約200社。また回線契約数はMVNO全体で約540万回線と、携帯電話契約数の約4%を占めています。
     
    MM総研の調査によると、格安SIMの利用者満足度は総合的に高く、「他人に勧めたい」というユーザーも多いことから、今後も市場の拡大は期待できそうです。

    MVNO推進に「踏み込み過ぎ」の声もあった公取委の報告書

    最近は、通信事業を管轄する総務省だけでなく、消費者保護を担う公正取引委員会も、報告書にMVNOの普及拡大につながる施策を盛り込んでいます。
     
    公正取引委員会の報告書には、大手キャリアのデータベースをMVNOに公開すべき、という内容もあり、「踏み込み過ぎでは?」との意見のほか、「裏で大手MVNOが糸を引いているのでは」と推測するジャーナリストもいるほどです。

    ユーザーにはMVNOが潰れるリスクも

    日本通信の個人向け事業撤退について報じた記事で、携帯関連ジャーナリストの石野純也氏は、ASCIIで以下のように述べています。
     

    ユーザーにとっても、いつなくなるか分からないMVNOと契約するのはリスクになりそうだ。日本通信のように、事業を譲渡できる会社ばかりではなく、最悪の場合、そのまま潰れてしまうところが出てきても不思議ではない。

     
    まだ小さいMVNO市場で限られたパイの奪い合いが激化する中、ユーザーにとっては、契約している事業者が潰れて引取先もない、というこれまでなかった事態が発生する可能性もあります。
     
    さらに、石野氏は総務省の方針転換の可能性も示唆しています。
     

    これまでMVNO推進一辺倒だったが総務省だが、方針を転換すべき時期が近づいているのかもしれない。少なくとも、万が一MVNOが事業を停止した際、ユーザーをどのように保護するのかの指針は決めておくべきだろう。

     
    今や社会インフラとなった携帯電話・スマートフォンのユーザーが契約先をなくして途方に暮れることのないよう、保護策の整備が求められます。

     
     
    Source:日本通信, 日本経済新聞, ASCII
    (hato)

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