AndroidとiPhoneのスペックを単純比較できないワケ―Huaweiとアップル

    iphone6s ローズゴールド 人気
     
    いまアップルに肉薄せんとする勢いで、中国ベンダーのHuaweiが成長を遂げています。高性能なスマートフォンを低価格で売る戦略が、ブランド力で勝負するアップルに一定の効果を収めているとも言えるでしょう。しかし、両者の端末のスペックを単純に数字で比較することには注意が必要です。

    Huaweiが勝者でアップルが敗者?

    スマートフォン業界はアップルの一人勝ちと言っても過言ではありません。それは業界全体が出す利益のなかでも90%以上をアップル、残りの10%弱をサムスンが占めており、その他のベンダーは利益度外視で薄利多売に尽力している状況を見れば明らかです。
     
    そんな中でもHuaweiやXiaomi、Lenovoといった中国発のベンダーが存在感を徐々に増してきています。特にHuaweiは昨年度の第3四半期には前年同期比60.9%増と爆発的な出荷台数の伸びをみせたほか、2015年通年でも世界シェアで3位につけており、ポスト・アップルと見る向きも出ています。
     
    huawei p9
     
    事実、ニュースサイトMotley FoolのAshraf Eassa氏は、スマートフォン市場でHuaweiが徐々に勝者に、アップルが敗者になっているとしています。
     
    その根拠として挙げるのが、Huaweiの旗艦モデルであるP9シリーズです。同氏は様々な点でこのモデルがiPhoneより優れているとし、アップルが採り入れる技術は珍しいものでもなくなりつつあると指摘します。

    カメラやバッテリー性能は見かけの数値で決まらない

    はたしてこの見方は正しいのでしょうか。個人的にはかなり懐疑的です。
     
    例えばEassa氏は、P9シリーズがデュアルカメラを搭載し、画素数も1,200万画素であることを引き合いに出したうえで、iPhoneは画素数で上回っているわけではないこと、デュアルカメラ搭載機種がiPhone Proのみで7/7 Plusにはついていないとされることから、アップルは最先端ではないと述べます。
     
    しかし、画素数だけが撮影した画像の美しさを決めるわけではありません。スマートフォンに搭載されているセンサー、光感度、レンズカバー、ノイズリダクション機能……様々な要因が最終的な画質を決定します。それは、SonyのXperiaZ5(2,300万画素)、LGのG4やサムスンのGalaxy Note5(1,600万画素)に、iPhone6s(1,200万画素)が堂々と肩を並べ、時にはより優れているとみなす向きがあることからも分かるかと思います。
     
    また、P9やP9 Maxのバッテリー容量が3,000mAhで、P9 Liteですら2,500mAhであるのに対し、iPhone6sが1,715mAhしかないことについても同氏は不満げですが、同旗艦モデルの1世代前である「P8」の駆動時間が2,680mAhで64時間であったことから考えると、P9シリーズもそこまで飛躍的な向上が起きていないことは想像できます。
     
    huawei iphone apple
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    ところが、そこにきてiPhone6sは62時間です。つまり、放電容量(mAh)では2倍弱の差があっても、駆動時間に大きな差はないのです。この事実を知っていれば、Android端末とiPhoneとを単純にバッテリー容量で比較できないことは容易に理解できるでしょう。

    AndroidとiPhoneの単純な比較は難しい

    これは邪推ですが、おそらくAshraf Eassa氏は、iPhoneとAndroid端末の両方を実際に使用して比較したことがないのではないでしょうか。
     
    私個人も、1,200万画素のカメラと4,000mAhのバッテリー容量を有しているのにもかかわらず、決してiPhone6を上回っているとは言い難いXiaomiのRedmi Note3を所有しているから分かるのですが、Android端末とiPhoneを数字で比較することは困難です。
     
    ましてやそれをもって、Huaweiがアップルを圧倒しつつあるとするのは牽強付会、為にする議論と言わざるを得ないでしょう。こうした見方は、Huaweiの成長力やiPhoneの真価を理解するうえで、間違った思い込みを助長させかねないだけに注意したいところです。
     
     
    Source:Motley Fool, 威锋网, GSMArena[1], [2], TNT
    (kihachi)

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